ボウイングの問題を抱えたあなたへ……構えのセルフケア入門セミナー誌上体験号

2018/04/05

 バイオリニストのみなさん、アップボウのときに、右肩を無意識に持ちあげていませんか?

 弓を動かすとき、アップボウで……特に《弓のまんなかから元にかけて》……肩を持ち上げることをしているひとを見かけることがあります。
 あなたのまわりではどうですか?
 あなた自身ではどうでしょうか?

 「肩をあげてはいけない」
 「肩をさげなさい。でもそれは下げ過ぎですね」

 ……なーんてアドバイスに苦しまされていませんか?

 バイオリン応援団☆いちろーたです。

 今回は、いちろーたの開催するセミナー・イベントに参加すると何を学べるのか、どうやって演奏が楽しく気持ち良いものに変わってしまうのか、セミナーやレッスンでおこなっていることに沿ってご説明します。

 たとえば、こういうことをやります……

●「肩で弓を持ちあげる」というカン違い

 弓を動かすとき、「肩をあげる・さげる」は弓の動きを助けてくれません。
 「肩をあげる」のと「肩があがる」のとは別のことであり、「肩をさげる」のと「肩がさがる」というのも別のことです。

●クイズ

 「肩をあげてはいけない」
 「肩をさげなさい」

 この2つのアドバイスは、同じですか?
 同じでないならどう違いますか?
 どう使い分けるべきでしょうか?

 「肩をあげてはいけない」とは、いちろーたならまず選ぶことがない表現です。
 なぜなら、禁止する命令表現は動きを固めるからです。

 もしも、肩をあげる必要が無い状況で、肩をあげたくないなら、適切な命令表現は「あげるのをやめる」です。

 「肩をさげなさい」はどうでしょうか。
 肩をさげる必要があるなら、これでよいです。

 ただし、その判断をするためには、検討すべきことがあります。その検討とは肩をさげることが必要かどうかです。
 肩をさげることが動きそのものとして必要なのか、あるいは、必要な動きにともなって発生することを許すべきなのか……望む動きはどちらなのかという検討です。

 ここで気をつけたいのは、肩を動かすことと、肩が動くことは違うということです。
 能動的に動かすのか、受動的に動くことを許すのかという違いです。

 ボウイングするとき、動きの目的はあくまでも、弓が望み通りに動くことです。
 肩そのものを動かすかどうかに関係なく弓さえ動けばいいのです。

 でも、弓を動かすために肩には動いて欲しいのです。

 なぜか。
 肩が動けることで得られるのは、《腕全体の動きの自由度が増す》ことです。
 腕の動きの自由度が増した結果として、弓の動きがなめらかになったりダイナミックになったり、デリケートにもなったりします。

 だから、「肩をあげる」ではなく「肩があがることを許す。そうすることで、弓の動きに肩がついていく」という動きの意図の作り変えが必要なのです。

 今回は一例として《アップボウで「肩をあげてはいけない」と教わり続けたけれどボウイングが全然改善できないという人》とのレッスンの一部をご紹介しました。

 今回は、ボウイングと肩の話を取りあげてみました。
 同じようなことをレッスンに持ち込まれた方がおひとりだけではなかったからです。

 もしかしたら、あなたも「肩をあげてはいけない」「肩をさげなさい。でもそれは下げ過ぎですね」などというアドバイスに困っていないかなという老婆心で今回はこのような記事を公開することにしました。

 肘でも指でも、首でも背中でも腰でも、脚でも……演奏に必要な動きを洗練させたいなら、あらゆる瞬間の、あらゆる部分の動きについてこうした検討をすることに価値を見いだせることでしょう。

 こうした改善を楽しみながら自分でできるようになってゆくのが「構えのセルフケア」のレッスンです。
 入門セミナーでは、もっとも応用がきく基本動作として楽器を手に取り、所定の位置に置くという動作を通して、動きの観察や分析を実習します。

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