BodyChance受講記録 音楽プロBodyThinking「肘」 2013年12月13日(金)キミコさん 《その2・形からわかる動きの可能性》

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BodyChance受講記録 音楽プロBodyThinking「肘」 2013年12月13日(金)キミコさん 《その1・肘を見てみよう》の続きです。

 講師キミコさんの、こうした見事なウォームアップによってクラスはすっかり白熱してきました。キミコさんが取り出した一本の骨に、みんなの観察が集まって、それぞれに気づいたことをしゃべっています。

 ここで、その賑やかさを思い出しながら、上腕骨のことを書いてみることにしましょう。

形からわかる動きの可能性

 上腕骨の形から、腕の動きについてわかることがあります。

肩は自由自在、肘は?

 肩甲骨との関節面は球状です。どんな方向にも動けるようになっています。肘に近いほうでは、尺骨と組み合わせって「折りたたむ/ひろげる」という動きだけをできるようになっています。ちなみに、尺骨(シャッコツ)というのは、肘から手首に向かってのびる前腕の、2本の長い骨のうち、小指に近いほうの細長い骨のことです。

肘の機能「折りたたみ」もうひとつは?

肘から手首にかけて伸びる2本の骨のペア

 肘から手首に向かって伸びる、細長い骨があるのがわかりますか?2本あります。1つは、肘から小指の側へと伸びている尺骨です。さっき少し説明しましたね。もう一つが、肘から親指の付け根、手首の出っ張りのところまでが撓骨(トウコツ)です。

 尺骨(小指側)も、撓骨(親指側)も、手首を「おいでおいで」とか「ドアをノックする」ように動かしてみたときに、手首からみると特に動いていません。

尺骨と撓骨……不思議なダンス

 尺骨と撓骨のペアは、肘と手首の間で不思議な動きをします。

実験してみよう!

実験・レベル1「動きを見る」

 ちょっと、試してみましょう。座ったままでも立ったままでもいいので、指先から肘まで床に向かってたらします。そして、脇を軽く締めておいて、手を肘の高さまで持ち上げるために、肘を曲げます。すると、肘の角度がおよそ直角になるかとおもいます。脇は軽く締めたまま、肘の角度は直角に保ったまま、手のひらの向きを裏返してみてください。どこが動いて手のひらが裏返ったかわかりましたか?

実験・レベル2「いつ変わったかを見る」

 手のひらが裏返るときに、腕の骨の位置関係がどう変わったか確かめてみましょう。いま見てほしいのは、肘から手首にのびる2本の骨……尺骨(小指側)と撓骨(親指側)……のペアが、「どうやって互いの位置関係を《手首側だけ逆転》させたのか?」ということです。

実験・レベル3「見るのはあきらめる。そして……見えていることを受け取る」

 注意深く見ましょう。肘を折りたたんだり伸ばしたりしないように固定したままなのに、手のひらを裏返すことができます。そのときに、肘から手首までの間で何が起きているか、気づいたことはありますか?

 肘のすぐ近くで何がどう動いているでしょうか?手首と肘の中間地点では、皮膚の下、筋肉の下で2本の骨(尺骨と撓骨)のどちらがどう動いているかわかりますか?その結果として、手首のすぐそばでは、2本の骨(尺骨と撓骨)がどんな動きをしているでしょうか。

実験・レベル4「五感のすべてから情報を受け取る」

 もう一つ試してみましょう。テーブルや机があれば、その上に肘を付けて手のひらをテーブルにつけて、手首もくっつけてみてください。肘から手首、手のひらまでがテーブルにくっつけられたでしょうか。それでは、肘をテーブルに付けたままで、手のひらを裏返します……小指を中心に手のひらが返ったのがわかりましたか?

 「小指のまわりを親指がまわって、手のひらが向きを変えた」……という動きに見えたはずです。この動きを、肘から手首に伸びる2本の骨(尺骨と撓骨)の動きに置き換えて言うと次のようにいえます。「尺骨は動いていない。撓骨の肘に近いほうで回転した結果、尺骨と交差していた撓骨が平行になった」

 いまの説明を、ゆっくりと声に出しながら、先ほどの動きもう一度やってみましょう。実況中継してみてください。ほぼそのとおりになっているのがおわかりいただけたでしょうか?

 ところで、実験レベル4では、触覚を刺激しました。テーブルに腕を置くことで、腕への注意力や、それ以外のことへの注意力の配分のしかたも変わったのではないでしょうか。もしも、私の指摘通りだとしたら、さっきまでのあなたは、見ようとするあまりに、視界にあった見えていたはずのものも見落としていたかもしれません。

肘の形が、肘の動きをつくる

 「肘」に隠された2つの働きをこのように丁寧に観察してきました。折り畳む動きは分かりやすいのですが、手のひらを返す動きというのは、実は、肘を伸ばした状態だと分かりにくくなります。なぜなら、肘の動き以外に、肩の動きが混ざってくるからなのです。ですから、先ほどの説明では肘の動きと肩の動きと区別しやすくするために、肘を直角に曲げた状態で、軽く脇をしめるという状態を作ってみました。

つづき……

 《その3・応用編……楽器を構えるときに肘の動きを活用するには?》を読む(12月17日公開しました)

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