【ヴァイオリニストのための解剖学入門】ヴァイオリニストの誤解をただす〜じゃあ、腕はどこから生えてるの?

2017/09/18

公園のベンチでヴァイオリンをひきながら・いちろーたの写真

 ヴァイオリンを演奏するとき、腕が大活躍します。腕をいまよりももっとラクに動かすためには、正しい理解が必要です。

 残念ながら、ヴァイオリニストの多くが技術を習得する過程のなかで、さまざまな練習を重ねた結果、肩周辺についての誤解をしてしまっています。肩こりや背中の痛み、時には指先のしびれの原因にさえなっていることもあるでしょう。

 腕の動かし方を見つめ直すときには、まず胴体との関係性を見直すことをおすすめします。

肩について

誤解:腕は肋骨から生えている
不正確な思い込みと言えます。上腕骨が関節を作っている相手は、肩甲骨です。いわゆる肩関節とは「肩甲上腕関節」という正式名があります。肩関節の自由さは、肩甲骨が宙に浮いているから得られるものです。
疑問:肩甲骨と胴体のつながり方は?
結論だけ書くと…腕は背骨から生えているといえます。ちょっと詳しく書きますと……《上腕骨〜肩甲骨〜鎖骨〜胸骨〜肋骨〜胸椎》という順序で【胴体を支える骨たち】につながっています。肩甲骨が関節を作っている相手は鎖骨です。鎖骨は、首の前に回りこんで胸骨に繋がります。胸骨は肋骨たちへ、肋骨たちは胸椎たちにつながっています。背骨のうち、肋骨とつながっているものが胸椎(きょうつい)と呼ばれています。

 肩甲骨というのは、もしかしたら、腕を前で使いやすくするため、そして、力を発揮するための、ガイドみたいな役割かもしれないですね。肋骨の大きなカーブに沿って広い範囲を動き回れるように、筋肉で包まれています。おもしろいなぁ

ここで腕の動きアニメのご紹介

【ヴァイオリニストのための解剖学入門】アニメで見る・上肢(腕)の動き《大阪大学整形外科の研究成果に学ぶ》 | 弦楽器奏者に役立つ・カラダのやさしい使い方
僕の関心ごとは腕にあります。ですから、腕の動きについて良いヒントはないかと思っていたら、ありました。この動画はいいですよ。ガイコツのアニメ ...
上腕のアニメ。肩も指も。

肩を包む3つの筋肉群

 肩周辺に着目すると、大きく言って3つのパーツが関係します。胴体・肩甲骨・上腕骨です。この3つのパーツを動かすための筋肉がたくさんありますが、次の3グループに分けて考えることができます。

  1. 肩甲骨側から上腕骨を動かす
  2. 肩甲骨を胴体側から位置制御する
  3. 上腕骨を胴体側から直接動かす

 どの筋肉がどのグループに分類できるのかは、話が細かくなりすぎるのでこのくらいにしておこうと思います。

今回のまとめ

 肩が自由に力強く働くのは、たくさんの部品が補い合いながら働いているからなんですね。次回は、肩の動きを生み出す筋肉のことを説明します。

 こうしてみると、人間の身体は細かくみようと思えば、いくらでも細かく観察することができるんですね。気の済むまで細かく見たあとは、その細かく見たことが、すべて自分のなかに包み込んであるんだと思ってみてくださいね。演奏しよう!という思いを実現してくれる様々な働きに感謝しつつ。

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参考

-体の仕組み・動きを考える