チェロ:「医者から手首に負担をかけないよう言われました。演奏したいのに、どうしたらいいの?」(無理のない腕の使い方があります!)
2015/03/15
チェロをひいてて手首が痛いとか、あれが痛い・これが痛いってなるんです。それを医者にいうと何でも「加齢のせいでしょう」「チェロでしょう?あれは弦楽器の中ではマシなほうだけど、それでも不自然な姿勢なんだから、仕方ありませんよ」で片付けられちゃうんです。
挙句の果てには「楽器演奏をおやめになっては?」……そんなことを聞きたくて通院してるんじゃないのに……。
Kさんは、チェロ演奏を続けたくて、手首の痛みを解決しようと私のところへ来てくださったのでした。
今回の要点
- 「私はチェロが好き」その喜びを味わう
- 人は生まれてから死ぬまで成長し続ける
- 痛みは「変化」を促すサイン
- 「どう動けるか」を再発見する
チェロを捨てる?痛みを捨てる?
やりたいことがあって悩んでいるのに、「だったら、そんな大変なことやめちゃいなよ」という人がいます。せっかく相談してるのに「チェロを演奏するせいで痛くなるなら、そんなチェロ演奏はやめちゃえばいいんじゃない?」って答える人っていますよね。あなたはどう思いますか?
演奏したいから、痛みを治す方法を知りたいのに、医者に通って聞かされるのは「使い過ぎ」「負担がかかっているから」「休めば痛みがひくでしょう」……そして、休んでみると痛みはひくけれど、練習は進みません。
私の考えによれば、痛くなるのをやめるには、2つの選択肢があります。知りたいですか?
チェリストのロストロポーヴィッチをご存知でしょうか。2007年に亡くなりましたが、70歳を超えても世界中で演奏をしていました。彼は痛みに耐えながら演奏活動をしていたのでしょうか……。
痛みは「変化」を促すサイン
「痛いっ!」
痛みっていうのは自分が生きている証拠です。そして、痛みにはメッセージが込められています。
痛みに込められたメッセージと向きあおう
痛みは身体から自分へのメッセージです。「その筋肉には休養が必要だよ」「その関節には、そんな動き方はできないよ」「その関節はもっと別の場所にあるよ」「その動きをするなら、もっと別の方法があるよ」などです。
もしも、痛みからのメッセージがこうしたものだったとしたら、痛み止めで無視するのでなく、真正面から受け取ってみる価値があると思いませんか?
《自然な演奏》を始めよう
ヴァイオリニストのイヴリー・ギトリスをご存知でしょうか?彼は80歳を超えてもなお、ステージに出て、立って演奏をし続けています。私の師匠も80歳を超えて、演奏活動・レッスン活動に飛び回っています。
……ということは、もしかしたら、《痛みのより少ない演奏のやりかた》ってものがあるかもしれないんです。
道具に応じた使い方を学ぼう
痛みは、あなたの動かしかたに無理があることを教えてくれているサインです。「動き」こそが痛みを解く鍵です。このことを一緒に考えていきましょう。
『右足用のクツ』と『左足用のクツ』
子供の頃、クツの左右を間違えたことはありませんでしたか?歩きにくいんですよね。他人のクツを間違えて履いたときの歩きにくさを思い出しちゃう人も多いかもしれませんね。
『左利き用のハサミ』を使ったことがありますか?
あなたは右利きですか?左利きですか?あなたが右利きだとしたら、ハサミを使うことに苦労したことはほとんど無かったことでしょう。なぜでしょうか。
もしも、あなたが左利きだったら世の中のハサミのほとんどが右きき用にできていることはよくご存知でしょうね。右利きのあなた!ハサミで物を切るということが簡単なのは、右きき用に作られていたからだったんです!
本当に痛みをやめたいですか?
私はこう考えます。痛みを生んでまでも演奏をしたいと思うのをやめる。もうひとつは、痛みを生まない演奏をしようと思いはじめることです。