弦楽器奏者のためのやさしい身体の使い方

練習を楽しむコツ、上達に不可欠な心と体のセルフケア。バイオリン応援団☆いちろーたが書いてます。

身体を働かせるって何だ?!《力を使うのは何のためか》

2017/09/18

 カラダの使い方講座です。今回は「身体を働かせるって何だ?!」です。身体を働かせるというのはどういうことなのでしょうか。《いい働き》ってなんだろうということを考えるために、まず《悪い働き》だったり《残念な働き》のことを考えてみようと思います。

 いい仕事だったね!
 残念だったね!

そもそも「仕事」って何だよ!?

 仕事の質を決めるのは何でしょうか。これを考えるためには、仕事とは何か、働くとは何かということを考えることが必要です。

 まずWebで見られる辞書で検索した結果を2つ紹介します。

何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。
しごと【仕事】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

するべきこと。しなければならないこと。
「しごと【仕事】」 の意味とは - Yahoo!辞書

 もうひとつ、手持ちの書籍でみつけたお気に入りの表現をご紹介しておきます。

ワーク(work)
何かを作る・達成する目的で力を使うこと

音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと―アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピングより

 こうして3つの定義を読み合わせてみると、仕事には2つの要点があるといえそうです。1つは《これをやりたい》という目的があること。もう1つは《目的を成し遂げるために、必要なことをやる》ということです。

仕事の質を決めるものは?

 仕事とは何か、ということを考えてみただけで、より良い仕事をするためのチェックリストが出来上がってしまいそうですね。もうちょっと続けてみます。

「いい仕事してますね!」って何を褒めているの?

 「いい仕事しますね」「いい働きしてますね」と言葉を掛けたくなるときってどんなときでしょうか?

 「いい仕事したなあ」「いい働きしたなあ」と自分を褒めたくなるときってどんなときでしょうか?

逆に「残念だったね……」とは何のことなのか

 「残念だったね」「そんなに頑張らなくてもいいよ」と声を掛けたくなるときってどんなときでしょうか?

 「疲れたぁ」「もっとうまくやりたかったのにな」と自分を責めたくなるときってどんなときでしょうか?

 この「いいね」と「残念だね」の間にある違いって、「徒労感」かなって思います。いかがでしょうか。

身体の仕事ってなんだ?

 身体の仕事とはなんでしょうか?ちょっと小難しく考えてみましょう。

動くために必要なことすべてをひとつひとつ考えていられるほど僕らの人生は長くない

 身体の仕事は、動くことだとします。筋肉を動かす化学反応に必要な材料を供給するために、呼吸や血液の循環システムがあって、その循環システムが最優先で作動するように、神経システムが巧妙に張り巡らされています。巧妙すぎてどこを最初に作り始めればいいのか、どこを後回しにすればいいのか、僕にはなかなかわかりません。

《自律システム》生命維持はお任せ

 でも、良いお知らせもあります。ややこしいことがわからなくても身体が自分で必要なことをやってくれるということです。美味しい物を食べているときに、胃液の分泌量の調整や、血糖値の増減を監視するためにどんなホルモンを調整すればいいかを検討しなくてもいいということです。

《学習システム》自分が獲得済みの経験や知識は、いつも自分を助けたがっている

 身体のほうから常に脳へ向けて、判断材料として使ってもらうために、感覚器を通して外界の情報を送り出しています。膨大な量の情報ですが、どうやら全部が脳に蓄積されるのだそうです。蓄積されたものがどう使われるか、というところが謎めいていて面白いと僕が感じるところではあります。

 基本的には身体が受け取ったあらゆる情報は脳へと届く仕組みが用意されています。脳に届くまでの経路で反射がおきると、脳では処理されないことになってしまうらしいのですが……。

 演奏をしたい時に、ややこしいことはわからなくても「この音楽をやるんだ」という思いが明確にあるのなら、蓄積してきた知識と経験をもって、脳はそれに応えるべく必要な命令を組み上げます。つまり、環境条件のなかで身体が媒体となって、脳に蓄積されたアレコレを《脳からの命令=その時のベストな提案》として引きずりだして対応してくれます。

 《自分》という存在から見るとき、身体の仕事は《自分の思いを実現すること》です。空を見ようと思えば、目は空を探すし、足や胴体は目を空に近い方へと運んでくれます。机に置いてあるヴァイオリンを手に持とうとすれば……手がヴァイオリンに触れるために……目や腕や足たちがよってたかって、手のために動き回ってくれます。

良かれと働いて罠にハマる悲劇

 でも、良かれと《学習システム》を使ってみた結果が、目的達成の最小労力コースから遠ざけてしまうことになってしまう……ワナにハマるとでも言えばいいのでしょうか……こういう悲劇が実際には起きてしまうのです。

習慣というワナを破ろう

2つのカギ《自分の思い》と《その達成に必要なこと》

仕事には2つの要点があるといえます。1つは《これをやりたい》という目的があること。もう1つは《目的を成し遂げるために、必要なことをやる》ということ。

習慣=《知識と経験》で塗り固められたもの

 身体は、《自分のやりたいこと》を実現するために、《自分の知識と経験》を総動員して、脳に命令を組み立てさせます。

 これは僕の現状の理解を書いてしまったので、もう少し一般的な言い回しでもう一度書いてみると次のようになります。

 脳が、筋肉への命令を組み立てるときには、《自分のやりたいこと》の実現のために必要な動作を《自分の知識と経験》に基いて取捨選択します。

《知識と経験》は過去の栄光

 ここで勘違いしてほしくないことがあります。知識と経験は、けっして否定する必要はないということです。なぜなら、知識と経験こそが自分を作っているものだからです。

「何のため?」を思い出せ!

 混乱したときに、この問いを、たった1つ思い出してみて欲しいのです。
何のため?

 弦に触るのは何のため?
 弓を動かすのは何のため?
 楽器を持ち上げるのは何のため?
 ステージに立つのは何のため?
 練習するのは何のため?
 音楽するのは何のため?

 迷子になりそうなとき、混乱してしまいそうなとき、大切な事はそのまま突き進むことではなく、原点を思い起こすことではないでしょうか。

 身体の使い方とは、ちょっと違った角度になってしまったかもしれません。ただ、「何のため?」という観点を持ちながら、自分のしている動作を観察してゆくことをオススメします。「要る/要らない」がクッキリと浮かんでくるからです。


構えを変えて思い通りに演奏できるようになる
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