【ばよラボ通信より】「音作りの現場」に全権委任する

「音作りの現場」に全部任せて演奏していますか?

「音作りの現場」とは、

ひとりの楽器演奏者について言うなら
楽器が鳴り響くための振動源と、そのきっかけとなるものが出会う場所のことです。

弦楽器の場合は、
「弦」と、「弦を震わせるきっかけ」が出会う場所

……が、「音を作ってくれている」と言えるのではないでしょうか。

「弦」と「弦を震わせるきっかけ」とは、具体的にどんなものでしょうか?

ボクの場合は、バイオリンを弓で演奏することが多いので
「バイオリンの弦」と「弓の毛」だと思っています。

みなさんにとって「音作りの現場」は、どこでしょうか?
現場で音を作るのは、何と何でしょうか?

ヴァイオリンを演奏する・いちろーたの左手、写真

奏者の仕事とは、

「音作りの現場」に、「どうぞ、いまが音を出すときですよ」

と指示を与えることです。

この指示は、
「演奏していいですよ」という許可でもあり、
「音を出せ」という命令でもあるかもしれませんね。

ところで、この指示
「どうぞ、いまが音を出すときですよ」

は、始めるときだけでしょうか?

一度演奏をはじめたら、ひたすら指示を出し続けます。

一瞬一瞬ごとに

「どうぞ、いまは音を出すときですよ」
「どんな音が出るかは、音作りの現場にいる《あなたがた》がいいと思うようにやってください」
「わたしは、《あなたがた》とその音についていきますから、どうぞお好きなように振る舞ってください」

と、語りかけてゆくのです。

バイオリンの弦の上で、弓がバランスしている

《あなたがた》とは、音作りの現場で
音を作ってくれる偉大なパートナーのこと。

ボクの場合は、バイオリンと弓。
特に、バイオリンの弦と、弓の毛が、そのリーダー格です。

彼らに演奏を委ねて、音作りを託すわけですが、
多くの演奏者は、ここで重大な過ちを起こしがちです。
しかも、そのことに気づきません。

重大な過ちとはなにか。

比較的わかりやすいのは……

バイオリニストの場合であれば、
自分のカラダやテクニックが音作りのすべてを支配しているかのように振る舞うことです。

たとえば、音の出だしや、変わり目で、
音をつなげたり、切り離したりという変化をつけるために

弓の毛や、弦の弾力に任せておけばいいのに、
自分で「手応え」をつくろうとしてしまいます。

それは、演奏動作として、目に見える形で現れます。
しかし、本人は無自覚であることが多いです。

あるいは、自覚しているけれど
「手応えをつくる」ことが「音作りの現場に仕事をさせる」ことだと勘違いしていることがほとんどです。

バイオリンであれば、奏者が何をしても、
結局のところ、どんな音が出るかは、弦と弓の毛がどう触れあうかで決まります。

ぜひ一度でいいので
自分で音を作るのをやめてみましょう。

そして、
「音作りの現場からどんな音が聞こえてくるか」を味わってみましょう。

これは、好奇心を刺激する遊びへの、ボクからのご招待です。

そして、真摯に芸術を追求する人にとっては勇気を試す挑戦状でもあります。

ハービー・ハンコックが
「演奏とは、一瞬一瞬が勇気ある挑戦です」
と言っていましたが、このことなのかもしれませんね。

まとめ

「いま、楽器の演奏をしているとき、音を作ってくれているのは、どこでしょうか?」

その彼らに、音楽のすべてを委ねましょう。

どんな音が出てきても、それを受け入れる。
さらに、次の音はどうなるのか、それもまた受け入れる。

素敵な冒険だと思いませんか?


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