いちろーたメソッド【『なんじゃこりゃ?!いつもと違うぞ!』それでも演奏してみようエクササイズ】脱力ボウイングをマスターして倦怠期を乗り越えよう《弦ラク・エクササイズ 04》もしかして自分で自分をつまらなくしてませんか?【YouTubeあり】
2017/09/18
バイオリン応援団☆いちろーたです。今回は弓の持ち方を脱力する、持ち方を軽くするエクササイズをご紹介します。
今回の要点
- ボウイングの仕事は2つ……「弓」にさわること、「弓」を動かすこと
- 「弓」との関係を新しく作り続けよう
- 【上級編】「弓」も「楽器」も、次の瞬間には新しい!
出したい音を出すために、弓の毛が弦とこすれあう。そのための弓のさおを動かす。
弓が自由に動けるのは、指から腕全体が自由に動けるから。そして、腕がぶら下がっている胴体も自由に動ける……と思い描いている頭が、首の上にあって自由に動けるからなんです。動く必要はないです。「動くことができるんだ」ということを、自分で自分のカラダに言い聞かせてあげましょう。
いちろーた・メソッド《弦ラク・エクササイズ》とは?
私・バイオリン応援団☆いちろーたがアレクサンダーテクニークを学びながら弦楽器演奏への応用を研究するなかで得たアイデアを実際の演奏の場面で使えるようにトレーニングするための《弦楽器演奏がラクになるエクササイズ》です。
「おやっ?弓ってこんなのだっけ?」エクササイズです
ステップ1. 《弓ではないもの》をさがします
弓の代わりになるものをさがします。弓と全然違うものにしましょう。たとえば、柔らかくてモフモフしたもの……ちいさなぬいぐるみもいいですね。
ステップ2. 《弓ではないもの》を弓だと思って演奏してみる
さあ、演技の達人になりきってみましょう。いま、《弓ではないもの》を持っているあなたは、あたかも弓を持っている時を同じように演奏をはじめます。どんな曲でも構いません、その《弓ではないもの》をつかって、あなたの楽器を演奏しましょう。
たったこれだけ
《弓ではないもの》を使っての演奏はどうでしたか?弓を使っていたときとどんな違いがあることに気づきましたか?。
弓だけでなく楽器も《別のもの》に変えてやってみましょう
《弓ではないもの》と《ヴァイオリンではないもの》を使って、あなたのレパートリーをいくつか演奏してみましょう。
チェロやコントラバスなど大きな楽器の方へ
自分の楽器とは違う大きさで遊んでみましょう。普段なら床に立てないと手に負えないパートナーが、膝の上や、もしかしたら肩の上にのせることができるかもしれませんね。
もっと詳しく知りたい方へ……(上級編)
《弓ではないもの》《楽器ではないもの》を使って演奏したあとで、弓や楽器を持とうとしたときにも、じつは《いつもの、さっきまでの弓とは違うかもしれないもの》《いつもの、さっきまでの楽器とはちがうかもしれないもの》を《いつもの、さっきまでの自分とは違う自分》が演奏しようとしていることに気づきましたか?
演奏をするということは、常に迎える新しい瞬間を、驚きとともに受け入れることではないでしょうか。「きっとこうなるはずだ」「どうせいつもと同じだ」というのは、演奏ではないのです。
先入観こそが「脱力」の天敵
注意深く取り組んだ方はお気づきかと思いますが、このエクササイズは、じつは脱力を直接に達成するものではありません。
このエクササイズでは、弓や楽器を普段とは違うものに持ち替えて演奏しました。いつもの弓、いつもの楽器にたいして、いつもと同じような考え方(つまり、いつもの自分)で取り扱おうとしても、演奏することはできません。いま持っている《弓のかわりの何か》《楽器のかわりの何か》が《さっきまでの自分のかわりの何か》によって演奏されるのです。
この一連の取り組みは、新鮮なアイデアを生み出し続けるトレーニングとして《演劇》の分野で似たようなことが行われています。先入観を捨てて、飛び込んでくる情報全てを、はじめて出会う刺激としてリアクションを即興で演じる……そういうトレーニングです。
脱力というものは、いつでも、何かをやろうとしたときに間接的な副産物として達成されるものだと私は思っています。
どうぞ、このエクササイズが楽しみのもととなりますように。