いちろーたのレッスンで、一番効果が分かりやすいと大好評のエクササイズです。
学生オーケストラで「左手の脱力がうまくいかない」「すぐ疲れる」「速い動きが苦手」という人がいたら、教えてあげてください。
バイオリン応援団☆いちろーたです。今回はフィンガリング(左手指の動かし方)を軽くするエクササイズをご紹介します。
今回の要点
- やりたいのはどんな動き?……「指先」で「指板」に触る
- 「触る」と「狙いを定める」とを区別する
- 【上級編】「指先」を動かすために何が動けるかを知る
指が自由に動けるのは、腕全体が自由に動けるから。そして、腕がぶら下がっている胴体も自由に動ける……と思い描いている頭が、首の上にあって自由に動けるからなんです。動く必要はないです。「動くことができるんだ」ということを、自分で自分のカラダに言い聞かせてあげましょう。
いちろーた・メソッド《弦ラク・エクササイズ》とは?
私・バイオリン応援団☆いちろーたがアレクサンダーテクニークを学びながら弦楽器演奏への応用を研究するなかで得たアイデアを実際の演奏の場面で使えるようにトレーニングするための《弦楽器演奏がラクになるエクササイズ》です。
指ふわふわエクササイズです
ステップ1. 弦に指を置きます
押さえるのではないです。置くだけです。指を弦からわずかに離してみましょう。弦と指の間のすきまがどれくらいあるか見てみましょう。
ステップ2. すきまをギリギリまで小さくする
指を弦から離すとき、ゆっくり動かしましょう。肌でわかる離れた感覚と、見てわかる離れた間隔。ぎりぎり触れているかどうかという間隔を、繊細な動きによってつくりましょう。
たったこれだけ
ごくわずかな動きで「触れる/離す」を変えるのです。
ここに注意!
音程は無視してください。指を弦に触れさせる、指を弦から離す……これだけを思って指先を動かしてください。指先と弦のことをおもってください。
バイオリンやチェロなら弦でなく指板でもやってみましょう
今回は、二胡のように指板のない弦楽器でもエクササイズできるように、指が触る相手を弦にしてみました。指板のある楽器であれば、指と指板の「触れる/離す」を試してみることをオススメします。
ギターなどフレットのある楽器の方へ
ギターのようにフレットがある場合は、フレットのことを考える必要が出てきます。なぜなら、指が触れる対象は「指板や弦」ですが、「弦がフレットに触れる」ということを考慮する必要が出てくるからです。
ですから、ギターのように指板にフレットのある楽器を演奏をする場合は、《指が弦に触れることで、弦とフレットの関係が変わる》ことも考えてこのエクササイズの応用をしてみてください。音の変わり目をハッキリさせたい時には特に役立つはずです。
もっと詳しく知りたい方へ……(上級編)
なぜ、指で弦を押さえるのでしょうか。これを考えるとフィンガリングのために何をすればいいかが、よくわかります。
指で弦を押さえることを、英語では「止める(stopping)」と呼びます。振動を変えるために、指で止めるんです。
フィンガリングの第一歩は、振動する弦の状態を、なんでもいいから変化させることです。「押さえる」と思っていたなら、限り無く強く押さえることと、限りなく弱く押さえることを知っておいて、「これ以上押さえても無駄」「これ以上弱いと意味が無い」というチカラ加減を知っておくと良いのです。演奏を細やかな配慮で行っている人は、弦に触れる指の扱いも細やかです。
おまけ「フワフワ」と「脱力」を使いわけましょう
脱力というのは、「力を抜くこと」ではないです。「脱力」とは、やりたい事のために必要な力をとりだして働かせること、です。
「これ以上押さえても無駄」という大きな力や、「これ以上弱いと意味が無い」という力の与え方があるということは、良いニュースです。なぜなら、めちゃくちゃ早いパッセージで、力が入りすぎていたとしても音色に悪影響はないし、ちょっとうっかりして他の指が触ってほしくないところにかすったくらいなら、大した影響がないということです!
つまり、やりたいことを最大ボリュームでやってれば、雑音は聞こえなくなるってことなんです。