「あっ!……落ちた?!」アンサンブルが本番で乱れたとき、あなたならどうする?!というテーマで、今回は3回目。最終回です。
ここまで2回の記事を書いてきました。
まだ読んでいない人はぜひ読んでみてくださいね。
「その1・バックポケットプランをつくろう」
「その2・情報集めのポイントとは」
では、前回のつづき。アンサンブルの極意、3つの要素の優先順位の発表です!
おさらい・アンサンブルの3つの要素
アンサンブルをするときに、考える3つのことは「自分自身」「グループ全体」「楽譜」です。私はそう思っています。解説していきましょう。
3つの優先順位は?
1に自分
楽器のグループ演奏をするときに、まず大事にして欲しいのは、自分自身です。
まず自分の面倒をみることです。「いま、自分は何をしたらよいのか」を知っておくことが、より良いアンサンブルを作ります。
2にグループ全体
自分の次に大切なのは、アンサンブルをしているグループ全体です。
もっというと、演奏しているグループだけでなく、聴衆やスタッフも含めた演奏の関係者のいる空間全体です。自分が、何のために、どこにいて、何をすることを選んだのか……それを思うことで、自分の行動の質を高めることができます。
3に楽譜
楽譜の存在も大切です。ですが、楽譜に入れこみすぎるのは逆効果です。
楽譜を1番にしてしまっていませんでしたか?楽譜はたしかに不可欠です。ですが、奏者がいなかったら、楽譜から音が出てきません。ですから、奏者のほうをより優先させることが必要です。
自分以外の誰かを1番にしてしまっていませんでしたか?指揮者や首席奏者はたしかにかけがえのない存在です。ですが、彼らの要求を実現するために、あなたの身体を動かすのは誰でしょうか?そう、あなた自身なのです。
自分が主体となって、演奏のための行動をしていることを思い出してください。「数える」「スコアを読んで、仕組みをわかっておく」「指揮者や共演者を視野に入れておく」「楽器をいい状態にしておく」など、やれることを見つけていきましょう。「不安なことをあらかじめ見つけておいて、予防しておく」「わからないことを消してゆく」という行動となってあらわれてきます。あなたの参加するアンサンブルのすべてが変わってゆきます。
まとめ
演奏の本番に限ったことではないですね。たとえば、レッスンをする立場になってみたときにもバックポケット・プランが役に立ちます。
どんな立場であれ、まず自分自身を最優先で面倒を見てやることがアンサンブルの力を向上させるために必要なのです。「自分で自分を教える」という力を高めることにもなります。そうすると、想定していなかったようなことが起きても、「よし、つぎはこうしよう」と決めて動くことができます。
いちろーたは、こうやってトレーニングしています
バックポケットプランをつくるトレーニングとして有効なのは、自分にこう問いかけてみることです。「先生なら、どうするかな?」と。
いつでも、どんなときでも即座に必要なバックポケットプランが思い浮かんでくるとしたら……こんなに頼もしいトラブル対処法・予防法は、他にはないですよね?
なぜ、バックポケット・プランが効き目があるかというと、あらかじめ思い描くことで、同じ経験が事前に積めるからではないでしょうか。思い描く力が強くなると、思いもよらなかった場面でも、その場から得た情報を元にして、即興で行動プランをつくることができるようになっていきます。
「先生は、こんなときどう言っていたかな?」「先生ならどうするかな?」という問いかけを、自分に向けて、続けてみてください。どんな事態にも落ち着いて対処できるようになっていきます。