手に負えない楽曲を練習するときに役立つ、カラダに優しい《3つのルール》

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うっ、固まりそうになる!

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 技術的に手に負えない感じのする楽曲に取り組むときに「こうするといいよ」というアイデア3つをご紹介します。すでに実践済みの方もいらっしゃるとは思いますが、なかなかまとまった形で読んだことがなかったので、自分でまとめてみました。

 
 

手に負えない楽曲を練習するときに役立つ、カラダに優しい《3つのルール》

 これまでに教わってきた練習方法を、3つにまとめてみました。さっそくご紹介しましょう。

  1. 楽器をひかない
  2. ゆっくり演奏しない
  3. 急いで演奏しない

 では、解説をいたしましょう……

 
 

1. 楽器をひかない

 楽譜を読みましょう。
 文献をあさりましょう。

 練習での壁になるのは「楽譜を読んで、音が思い浮かばない!」ということではないでしょうか。音が思い浮かべばオッケーです。音を思い浮かべられるようにするためにはいろんな方法があるはずです。たとえば、ピアノやiPhoneアプリで音を鳴らして聞いてみるというのでもいいでしょうね。効率の悪い練習の多くは「音が思い浮かばないのに音を出そうとする」という矛盾が原因になっています。

 さて、楽譜を読んで音が思い浮かんだとしても、それだけでは解決しないかも知れません。次にやれることのひとつは、演奏できてる人を探すことではないでしょうか。「いいなぁ!」と思ったら真似すればいいんです。

 生演奏に触れちゃいましょう。
 音源も聞いちゃいましょう。
 映像も見ちゃいましょう。

ココに気をつけよう!

 一番まずいのは、「何が手に負えないのかがわからない」という正体不明の悪魔を、正体不明のままにすることです。答えそのものを求める必要はありません。何がわかっていないのか、何を知ればいいのか、どんな情報を集めればいいのかといったことを、すでに《できている人》あるいは《自分とは違う考え方をする人》から学ぶと早いです。

 
 

2. ゆっくり演奏しない

 音程やリズムを間違えるのを許しましょう。

 例えば、ホルンなどは条件を整えたとしてもその通りに音が出るかどうかは、音が出るまではわかりません。ためしに、ヴァイオリン演奏で音を出すための手順を書いてみましょう……

 「こういう音楽のためにこういう音を作る!」と思いえがいて
 左手指でヴァイオリンの弦に触れて
 右手で弓を弦に乗せて、動かす。

 これを、やりたい音楽の流れに乗せて、次から次へとやり続けるのが演奏であり、練習です。

ココに気をつけよう!

 気をつけて欲しいのは、出た音については、演奏がひと通り終わってから反省するということです。簡単にいうと、やると決めたところまで演奏を続けるようにします。

 
 

3. 急いで演奏しない

 ひとことで言えば、「ゆっくりと練習する」です。2.とは真逆ですね。音を出すために具体的にどう思えばいいのかを書いてみます。

 「これなら確実にイメージ通りの音になる!」という心とカラダの準備を整えてから音を出す。

 これを1つの音ごとにやって進んでいきます。1楽章まるごと全部とかだとキツイかも知れませんが、やってみると、自分の中で眠っていた力が目を覚まし始めます。僕のオススメの練習方法です。

 ここでもう一度、ヴァイオリン演奏で音を出すための手順を思い出してみましょう……

 「こういう音楽だ!」と思えたら、
 左手指でヴァイオリンの弦に触れて
 右手で弓を弦に乗せて、動かす。

ココに気をつけよう!

 これらひとつひとつの動作に含まれる《小さな動きの流れ》についても後戻りしないですむように進めていくことが、この《ゆっくり練習》の大事なポイントです。

 
 

おわりに……

 手に負えない楽曲に取り組むときに役立つカラダに優しい3つのアイデアをご紹介してみました。これらは決して目新しいアイデアではないことでしょう。しかし、普段の練習で忘れがちなことではないでしょうか。普段の練習のプロセスに丁寧に組み入れていくことで、読譜力も上がるし、初見にも強くなっていくし、合奏中の俯瞰力も備わってきます……というのが僕の実感です。

 本当は「手に負えない曲を練習するときに守るべき3つの《やってはいけないこと》」というタイトルにしようと思っていたのですが、ちょっとやめておきました。どちらのタイトルのほうがお好きですか?

 ちなみに、冒頭の楽譜は「スケルツォ・タランテラ」です。

収載曲

*こどもの夢 Op.14
Reve d’Enfant Op.14
作曲者 :イザイ(Ysaye)

*スケルツォ・タランテラ Op.16
Scherzo-tarantelle Op.16
作曲者 :ヴィエニャフスキー, ヘンリク(Wieniawski, Henryk)

*2つの性格的なマズルカ「1.オベルタス」Op.19-1
Deux Mazurkas Caracterstiques 1.Obertass Op.19-1
作曲者 :ヴィエニャフスキー, ヘンリク(Wieniawski, Henryk)

演奏会用ヴァイオリン名曲集 (3) (Violin library)

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