カテゴリー: バイオリン奏者のための《究極の基礎練習メニュー》

  • 【超初心者向け】音階練習をやる前に「左手指のABCD型」をマスターしよう

    【超初心者向け】音階練習をやる前に「左手指のABCD型」をマスターしよう

    バイオリンを始めたばかりの頃って、
    「どうやって指を覚えればいいかわからない」
    「曲によって指の形が全然違う」
    「楽譜を見ていると、指板に目印を貼ってあっても役に立たない」
    とか思っちゃうんですよね。

    僕もバイオリンを始める前は
    「たくさん覚えることがあるんだろうな」
    と思っていました。
    でも、幸いなことに、そうはなりませんでした。

    【この記事を書いている僕って誰?】

    どうも、いちろーたです。
    現在アラフィフのバイオリン愛好家です。
    アマチュアオーケストラでコンサートマスターをしたり、バイオリン奏者向けの身体の使い方・本番に強いメンタルを身につける研究をするなど、全国のバイオリン大好きな人を元気にすべく活動してます。

    バイオリンを始めたのは高校1年生の時。
    途中、大学受験やブラック企業勤務で病んでしまい楽器を触らなくなったりもしたけど、すっかり元気になって楽しんでいます。

    僕は楽器を習い始めた初日に左手指の4パターンABCDを教わったおかげで「バイオリンの指って、どう練習すればいいのかわからない」という状態にハマることなく、初心者だった高校1年生の時からアラフィフ社会人になった今にいたるまで、音程や音色を自由に作る楽しさや、楽譜を読み解く奥深さを味わいながら、わりと順調に上達することができました。

    今では
    「指番号を書かなきゃ弾けない」
    「どのポジションを使うか、いちいち考えなきゃ弾けない」
    ということも少なく、初見も特に苦手意識なく、初めて参加するオーケストラでもビクビクせずに自分らしくアンサンブルを楽しむことができています。

    その基礎は、バイオリンを習い始めたその日に「これが一番の基礎だよ」と言われて、熱心に練習を重ねてきた「左手指のABCD型」に他ならないのです。

    この記事では、「左手指のABCD型」の練習方法を紹介するとともに、なぜ取り組むべきなのかという理由も解説します。

    YouTubeでも解説してます!

    「ABCD型をどうやって練習するのか」はこちらの動画で実演しています

    この記事では、動画で解説しなかった「なぜ、ABCCD型を練習をすると、音程が良くなるのか」や、ABCD型をマスターするとこんなメリットがある、というお話をします。

    バイオリンの音程をよくするには「左手指のABCD型」をマスターしよう

    バイオリンのフィンガリング(左手指の動かしかた、運指法)には、よく使う基本パターンがあります。
    基本パターンは「全音」と「半音」の並び順で考えると、4種類しかありません。

    これです。

    ABCD型と指番号の関係を、文字だけで書きならべてみると次のようになります。

    A型 1指(半音)2指(全音)3指(全音)4指
    B型 1指(全音)2指(半音)3指(全音)4指
    C型 1指(全音)2指(全音)3指(半音)4指
    D型 1指(全音)2指(全音)3指(全音)4指

    こうして文字だけだと、わかりづらくなってしまう気がするのは僕だけでしょうか?
    図を見てもらったほうが、わかりやすいと思います。

    もう一度、上の図を見てください。
    「どの指がくっついていて、どの指が離れるのか」という組み合わせになっています。

    「全音では、指と指の間をあける(離す)」
    「半音では、指をくっつける」
    この組み合わせに名前をつけて「ABCD型」と呼んでいます。

    どうしてABCD型と呼ぶのかというと
    「1型、2型、3型、4型」だと、指番号でも「1、2、3、4」と呼んでいるので混同しやすいからです。

    世界は広くて、同じ「ABCD型」と呼んでいるけれど、ここで僕が紹介しているB型をA型と呼ぶ先生もいらっしゃいます。

    私にこのABCD型を教えてくれた宮下要先生のお名前をとって、「宮下メソッドのABCD型」と呼んで区別する必要があるかもしれませんね。

    ここまで説明してきたことをまとめると

    • バイオリンの左手指は4パターン「ABCD型」を覚えればいい
    • 「ABCD型」は全音と半音の組み合わせ

    ということです。

    これだけ覚えておけば、心配ご無用です。

    なぜ、ABCDの4パターンだけ覚えればいいのか

    音楽で使うもっとも基本的かつ頻繁に使う音の並びは
    「ドレミファソラシド」という音階です。

    この「ドレミファソラシド」という音の階段には
    段差の種類が2種類あります。
    「全音」と「半音」です。

    ドからレにのぼる段差は、全音
    レからミにのぼる段差は、全音
    ミからファにのぼる段差は、半音

    という具合です。

    ABCD型も、それぞれが「全音」と「半音」の組み合わせでできています。
    ABCD型をきれいな音程で作れるようになると、「ドレミファソラシド」をきれいな音程で作るのは簡単です。

    だから、まずはABCD型を練習して「全音」と「半音」をきれいに区別して弾きわけられるようになりましょう。

    実際の楽曲のなかでは「ドレミファソラシド」は、いつも「ドレミファソラシド」という姿をして使われるわけではありませんから。

    「ドレミファ」だけ「ミファソラ」だけ
    という姿で出てくることもあるし

    「ファミレド」や「シラソファミ」という
    逆行する姿のこともあります。

    そんなときでも、
    ABCD型を自在に使えるようになっていれば
    ひとつひとつの場所を目で確認しなくても、
    全音と半音をどう組み合わせて
    指をどの場所に向けて動かせばいいかが
    迷わずできるようになっている、というわけです。

    ABCD型を学ぶ価値、おわかりいただけたでしょうか?

    指の場所だけを覚えても、音程はよくならない

    せっかくABCD型を覚えても、なかには音程がよくならない人がいます。
    音程がよくない人の共通点を調べていて、ひとつわかったことがあります。

    音程が悪いままの人は
    「指の場所だけを覚えようとしている」
    ということ。

    指の場所を覚えるのはもちろん大事です。
    でも、同じように大事なことがあります。

    それが、「二つの音の関係性としての音程を学ぶ」ということなんです。

    この二つは似ていても異なるものです。
    混同せずに練習することが、音程を良くする秘訣です

    「音程をよくしたい」と思って練習するときには、「指の置き場所が正しいか」を考えるのと同じくらい「前後の音とどのような音程関係にあるのか」を忘れていないか、思い出すようにしてから指を動かしてみてください。

    ABCD型の練習にはいろんな効能があります。
    ここでは主な2つを紹介しましょう。

    ひとつは、全音と半音の頻出パターンを指の型枠として習得しやすくなるということ。

    もうひとつは、「一つの音に一つの場所」という指の行き先を覚えるだけではなく、音程という「音と音との関連性」に基づいた、音楽的な指の動かしかたの下地づくりになること。

    《指板に音の名前のシールを貼る》などの指の覚えかたもありますが、それは「音の名前と指板上の位置」を覚えることに注意が向きやすいトレーニングです。

    ドの音を弾くために、ドの場所へ指を置くことはできるようになりますが、音の前後関係を無視しがちになってしまうのではないでしょうか。

    指を正しい場所に置くことはもちろん重要です。
    しかし、同時に重要なのは、音をどのような音程で並べてゆくのかということを考えられるようになることです。

    自由なフィンガリングのためには、目印に頼らず、指を置く場所を自分で決められるようになることが不可欠なはず。
    それには音程と指先の距離感を結びつけることが必要なことだと僕は思いますが、どうでしょうか?

    毎日のウォームアップがわりに「ABCD型」を練習しよう

    ABCD型のもっとも効果的な練習タイミングは
    その日の練習の一番最初です。

    チューニングを済ませたら、音階練習を始めるのではなく、
    まずABCD型の練習をするように習慣をあらためましょう。
    習慣を変えれば人生の質も変わります。

    ABCD型の練習をするときは
    無意識に指を動かし始めるのではなく
    「1、2、3、4」と機械的に指を動かすのでもなく
    「全音・半音のソルフェージュ訓練をしているのだ」
    と思って取り組むと、さらに効果的です。

    1日の最初に3分でいいのでやってみてください。
    慣れると1分かからずにABCD型の《指のチューニング》が完了できるようになります。

    3ヶ月もしないうちに、自分でもびっくりするくらい音程が改善できますよ。

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  • ステップ2-5 【バイオリンが動く】 – いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』

     いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』 もくじ
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    ステップ2-5 【バイオリンが動く】

     「バイオリンが動く」とは、どういうことでしょうか?

     この「バイオリンが動く」という考え方には「バイオリンは動ける」という前提が含まれています。

     ここで探求するのは「バイオリンが動く」ということであって、「(何かが)バイオリンを動かす」ではないです。

     いくつかの演習課題を用意しました。「バイオリンが動く」「バイオリンは動ける」ということについて考えてみてください。

    演習課題2-5「3つのバイオリン」

     3種類の実験をしましょう。
     いずれも、楽器ケースからバイオリンを持ち上げるということをします。

     どんなことがわかるでしょうか?

    a. 「ケースから動かないバイオリン」を動かす

     ケースに固定されて取り出せないバイオリン《だと思って》、バイオリンをケースから取り出してみましょう。楽器ケースがテーブルや床にもガッチリ固定されている《と思って》、そこから楽器を持ち上げてみてください。
    ※ ケースに固定されて一体化してしまっている楽器を持ち上げるという演技だと思ってやってみてもよいです。

    b. 「普通のバイオリン」を動かす

     普通のバイオリンを、普通のケースから、普通のやり方で取り出してみましょう。

    c. 「自分で動く魔法のバイオリン」についていく

     今度は特別なバイオリンです(本当はいつものあなたのバイオリンですが、いまは魔法がかかったバイオリンです)。そのバイオリンは、魔法の力で自分で動こうとします。あなたは動きたがっているバイオリンに手を伸ばし、動きだしたバイオリンについていきましょう。
     これは魔法のバイオリンなので、あなたが触っている間はお願いしたとおりに、あなたの行ってほしい方向へ動いてくれます。そのときもあなたは楽器の動きについていくことができます。

    ※ あなたが触った途端に、魔法のバイオリンは不思議な力で持ち上がっていきます。あなたはその動きについていく……という演技だと思ってやってみてもよいです。

    さあ、ここまでにどんな発見があったでしょうか?

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  • ステップ2-4 【バイオリンに触れる】 – いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』

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    ステップ2-4 【バイオリンに触れる】

     バイオリンに触れましょう。

     触れるとは、対象物との距離を無くすことです。
     離れているものを近づけて、これ以上近づけないようにすることです。

     手は触れている相手から情報を受け取ります。
     と同時に、手は相手に対して何かを与えます。

    演習課題2-4 【触れる】

     手で色んな物に触れてみましょう。

     手は、触れた相手からどんな情報を受け取っているでしょうか?

     手は、触れた相手に何を与えているでしょうか?

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  • ステップ2-3 【バイオリンを見る】 – いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』

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    ステップ2-3 【バイオリンを見る】

     いま、バイオリンは見えるところにありますか?

     見える場所にあるなら、バイオリンはそのままの場所に置いたままでいいです。見えない場所にあるなら、見える場所に置きましょう。

    演習課題2-3a 【バイオリンを見る】

     さっそく実験に入りましょう。いま、バイオリンはあなたから見える場所にあります。では、何が起こるか見ていきましょう。

     バイオリンを見てください。

     いま、あなたは何をしたでしょうか?
       あなたのカラダの何がどう動きましたか?
       その他に気づいたことや、思ったことはどんなことがありましたか?

    演習課題2-3b 【見えていることに気づく】

     「見る」と「見える」は違います。

     「見る」というのは、意図により起こされる能動的な行為です。まず見たいものがあって、どこにあるかを探し、対象物に目を向ける……これが「見る」です。

     「見える」とはどういうことでしょうか。目に届いた光が刺激となって、脳が反応して映像を投射する……これが「見える」です。

     この違いを確かめてみましょう。

      その1. 「あなたが今いる場所のすべてを見る」
      その2. 「あなたは、今いる場所で、目に入ってくるあらゆる光をただ受け取る」

     この2つのやり方について、どんな違いに気づきましたか?
      ・見え方には何か違いがありましたか?
      ・受け取った情報量には違いがあったでしょうか?
      ・見ている自分の状態はどう違いましたか?

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  • ステップ2-2 【鎖骨を知る】 – いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』

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    ステップ2-2 【鎖骨を知る】

     ステップ2で取り組んでいるのは
      「バイオリンを鎖骨に置く」
     です。

     鎖骨とは何でしょうか?
     なぜ、バイオリンを置く場所を鎖骨にする必要があるのでしょうか?

    演習課題2-2-a 【鎖骨を見つける】

     あなたの鎖骨はどこにあるでしょうか?

     あなたの体に触れてみましょう。書籍や図鑑と見比べてみてもよいでしょう。

     どんなことがわかるでしょうか?

      形、大きさ・長さはどうでしょうか。
      どことどこをつないでいるでしょうか。

    演習課題2-2-b 【鎖骨のサポートを活性化させる】

     バイオリンの置き場所を、なぜ鎖骨にするのでしょうか?

     鎖骨は、軸骨格(頭と脊椎)によるサポートを腕の動きに伝える役割があるからです。ひとつ実験をしましょう。(できれば、この実験をサポートしてくれる助手を一人連れて来てください)

     この実験の目的は、楽器の置き場所によって腕の動きやすさがどう変わるかを体感することです。やり方は簡単。助手があなたの体を重力の方向に向かって押さえつけるだけです。そのときに、助手がどこを押し下げるかを3パターン試して、比較します。

      その1. 鎖骨を押し下げる
      その2. 胸(鎖骨より下・前のエリア)を押し下げる
      その3. 肩(鎖骨より上・後のエリア)を押し下げる

     さあ、どんなことがわかるでしょうか?

    参考動画

     いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』 もくじ

  • ステップ2【バイオリンを鎖骨に置く】 – いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』

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    ステップ2【バイオリンを鎖骨に置く】

     バイオリンは鎖骨に置いてください。

     置くのは、あなたがやります。
     あなたが置く物は、バイオリンです。
     バイオリンを置く場所は、鎖骨です。

     あなたがすることをひとことで言うと……
     「バイオリンを鎖骨に置く」
     これだけです。

    演習課題2-1 【バイオリンを置く】

     バイオリンをいろいろな場所に置きましょう。

     何が起こるか見てみましょう。手に持ったバイオリンを、いろんな場所に置いてゆきます……ピアノの上、ソファの上、ベッドの上、ダイニングテーブルの上……あなたが自由に出入りできる空間のどこでも、手が届く範囲なら、あらゆるものの上に置くことができます。

     では、改めて……

     あなたの手にあるバイオリンを、あなたの鎖骨に置きましょう。

     どんな事に気づきましたか?

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  • なぜ《バイオリン奏者のための究極の練習メニュー》を書いたのか〜はじめての方へ〜

     いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』 もくじ

    究極の練習メニューを書こうと思ったわけ

    どうして究極の基礎練習を書こうと思ったか。それは、アレクサンダー・テクニークを学ぶことで、バイオリンを演奏するというのは、どういう動きなのだろうかと深く考えさせられたからです。

    アレクサンダーテクニークと出会う前、バイオリンのレッスンでは「音楽する心」「バイオリンの奏法」「カラダの動き」を教わっていました。それは有意義なもので、バイオリンの楽しみ、音楽の喜びを味わうことができるものでした。でも、それをほかの人にも伝えたい、演奏の楽しみ方やテクニックを伝えたいと思った時に「カラダの動き」について語る言葉を持っていないことに苦しみました。

    「どうすれば、先生から教わったことを次の世代に伝えられるのだろう?」
    「ちょっとしたコツをどうやれば理解してもらえるのだろう?」

    行き詰まった時に、アレクサンダーテクニークと出会い、カラダの動きを語る言葉と、教える時の自分の扱い方を学びはじめました。

    いったい、どうやって演奏しているのか。
    そのとき自分に何をやらせているのだろうか。

    アレクサンダー・テクニークを学び始めてから、その学びをシェアするようになって、演奏をレッスンするようにもなりました。
    学びに来た人からこんなふうに尋ねられるのです。

    「いちろーたさんは、演奏するときに、どんなことを考えているの?」

    その都度こたえてきました。うまく言葉にならない時もありましたが、いっしょに学んでくださったみなさんのおかげで、かなり言葉にできるようになってきました。
    いまはこんな意図を持って演奏している、ということを書き連ねてみました。

    バイオリン演奏で迷っていることがある人の指針になればと思い、公開します。

    開放弦や左手指の体操、音階練習やエチュードへの取り組みがどうして必要なのかを知りたい人にも、このメニューが役立つはずです。

    究極の練習メニューの使いかた

     究極の基礎練習メニューは、私のところへ学びに来てくださった生徒さんにお教えしたレッスン内容の一部をまとめ直したものです。

     この練習メニューは、バイオリン演奏に必要な動作を各ステップごとに区切り、気になる部分だけドリル(反復練習)できるようにしてあります。あえてイラストや写真などの図解を採用していません。このドリルで練習するのは動きの作りかたです。私の経験上、写真やイラストというのは動きをとらえたものだとわかっていても「静止したもの」という誤った印象を抱かせてしまうのです。あなたに必要な動きの命令文は、あなた自身の思考と実践の相互作用によってこそ作られるものなのです。

     

    こんなひとのために書きました

     バイオリンを自ら演奏する愛好家、プロの演奏家を目指す学生さん、すでにプロとして自立している音楽家や指導者のために書きました。

    究極の基礎練習が目指すもの

     バイオリン演奏の究極の基礎練習とは何でしょうか。それは楽器と奏者自身とを触れ合わせることです。

     想像してみてください。奏者であるあなたは楽器をケースから取り出し、演奏をします。そのとき、楽器と触れ合わずに演奏ができるでしょうか?

     楽器を手に取る。体に置く。これは演奏する前であっても、はじめてからも続けておこなっていることなのです。

     演奏を聞かなくても、奏者のレベルがおおよそわかるという話を聞いたことがありませんか?……演奏の準備動作を見ればわかるという人もいますし、練習の時の楽器の扱い方を見ていればわかるという人もいます。楽器ケースを持ち運ぶ姿でもわかるという人もいます。なぜでしょうか?

     ヒントは、バイオリニストは「触れ合わせる」ことによって音を作り出すプロフェッショナルだからです。

     おわかりになったでしょうか。あなたが「自分自身」と「自分に触れているもの」とを「どう触れ合わせているか」ということこそが、あなたの演奏の質を決定づけます。

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  • ステップ1【バイオリンを支える5つのバランスポイント】を知る – いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』

     いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』 もくじ
     はじめての方へ(練習メニューの使いかた)

    ステップ1【バイオリンを支える5つのバランスポイント】

     いま、バイオリンはどこにありますか?
     そのとき、バイオリンの重さを支えているのは何でしょうか?

     では、バイオリンを演奏する時の支えはどうでしょうか?

     奏者がバイオリンを支えるときに使えるものは5つあります。

    1. 鎖骨
    2. 左手
    3. アゴ
    4. 弓の毛

     この5つをどのように組み合わせるかは、奏者であるあなたが選びます。

     バイオリンを演奏する時、あなたはこの5つを使ってバイオリンとダンスを踊っているのです。

    バイオリンを支える5つのバランスポイントという考え方はジェニファー・ジョンソンさんが著書『ヴァイオリニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』で紹介しています。(リンクはAmazonにジャンプします)

    演習課題1-1 5つの支えを体感しよう!

     演奏する時、5つのバランスポイントのうちどれか1つを使わないと決めて演奏しましょう。……そうすると何が起こるでしょうか?

     それが終わったら、使わないバランスポイントを別の1つに変えて演奏しましょう。……そうすると何が起こるでしょうか?

     使わないバランスポイントを2つ、3つと増やすと、何が起こるでしょうか?

    いちろーた式・バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』 もくじ

  • バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』〜基本動作と構えの磨きかた〜

    バイオリン奏者のための『究極の基礎練習メニュー』〜基本動作と構えの磨きかた〜

    いちろーたです。
    新しいテキストを書いています。徐々に追記していっています。
    バイオリン奏者なら誰でも演奏に必要となる動作。その基本中の基本の部分を徹底練習できるように考えてみました。練習のはじめ、いままでのウォーミングアップを始める前に、ちょっと取り入れてみてくださいね。

    「基礎練習」とは何を練習するのか。
    何ができるようになったら「初心者」を卒業できるのか。
    「教える」ことができるようになるには、なにがわかっていればよいのか。
    現時点での私の考えを箇条書きにしてみました。

    『バイオリン奏者のための究極の基礎練習メニュー』 構えの見直し方はこれでオッケー

     さあ、あなた自身と楽器とを触れ合わせる動きを磨くドリルを始めていきましょう!

     リンクをクリックすると解説・演習課題の記事にジャンプします。ご活用ください。

     《バイオリン奏者のための究極の練習メニュー》をはじめる前にこちらをお読みください

    バイオリンを支える5つのバランスポイントを知る

     鎖骨、左手、アゴ、首、弓の毛……5つのバランスポイント

    バイオリンを鎖骨に置く

     バイオリンを置く
     鎖骨を知る
     バイオリンを見る
     バイオリンに触れる
     バイオリンが動く

    あご当てにアゴを置く

     アゴを知る
     頭と首を知る
     頭が動く

    弓の毛と弦をつける

     手を知る
     弓を見る
     弓に触れる
     弓の毛が動く
     弦を選ぶ
     サウンディングポイントを選ぶ
     音が出る

    指板に指を置く

     指を知る
     指を見る
     指が指板に止まる
     指が指板から離れる
     弦を選ぶ
     指を選ぶ
     指が動く
     弦の長さが決まる

    ……これをどう練習するのか。

    学んでみたい人はレッスンやセミナーへ遊びにいらしてくださいね。

    追伸

    これはあくまでも、「楽器と自分とを関係づけるための動き」です。「自分と聴衆を関係づける」「自分と共演者を関係づける」「自分と作品を関係づける」ということも、このように動きを磨いてゆくことが役立ちます。でも、ここに書いた「楽器と自分を関係づける」ができれば、それを応用するだけです。やってみてくださいね。