楽器を演奏するときのカラダの痛みをやめる3つの選択肢(弦楽器奏者のためのセルフケア講座・01)

2016/05/22

バイオリンちょっとひとやすみ

 バイオリン応援団☆いちろーたです。ラクに演奏して、音楽の楽しみを一人でも多くの人に、心の底から「ああ、生きててよかった!」と思い出してもらいたいと願っています。



 新しい試みとして、弦楽器奏者のためのセルフケア講座をWeb上で記事として書いてみることにしました。質問などありましたら、お問い合わせフォームからお寄せくださいね。講座の内容に反映させていきます。一緒に、弦楽器演奏がラクになる方法を見つけていきましょう。

第1回「楽器を演奏するときのカラダの痛みをやめる3つの選択肢」

 楽器を演奏するときにカラダが痛くなったら、あなたは演奏をどうしますか?選択肢は大きく3つ挙げられると思います。

  1. 演奏をやめる
  2. 演奏をそのまま続ける
  3. 演奏を変える

 もうちょっと説明しますね。

楽器をひくときに、カラダが痛くなる。そのとき、どうしますか?

選択肢・その1「痛いなら、演奏を止めてみる」

 痛みが気になったら、即座に演奏をストップしてみても良いのです。

 なぜなら、痛みは、自分という生命維持装置からの警告なのです。だから、「ちょっと痛いぞ」「ちょっと疲れたな」「なんかピリピリするぞ」と感じたら、休むことも有効です。

 自分の身体に対して誠実に向き合う時間を作るのは、とても大切な事ではないでしょうか。

 病気や怪我による痛みであれば、演奏活動を長期間にわたって休止する……そういう場合もあるかもしれません。

選択肢・その2「痛みをそのままに演奏を続ける」

 痛いのに、そのまま演奏を続けるのはオススメしません。

 痛くなったのが練習中なら「ちょっとストップ!」ができますから、演奏を一時的に止められます。(その1で書いたのはこのことです)

 困るのは本番中です。なんとか演奏が続けられるほどの痛みであれば、我慢して演奏を続けてしまうことが多いのではないでしょうか。そして、痛み止めをつかったり、痛みが和らぐような工夫を探し求めることでしょう。

 痛みを放置しておくと、痛みを感じなくなってきます。状況に適応して、その場をしのげるように麻痺します。あくまでも、その場しのぎです。

 演奏のしかたが原因の痛みならば、演奏のしかたを変えれば我慢せずに済みます。演奏のしかたとは別のところに原因があるなら(例えば、料理中に包丁で傷つけた指先が痛い)、その治療に専念したほうがいい場合もあります。演奏のしかたを工夫すれば、痛みを和らげることができる
……という場合もあります(傷口に負担をかけない演奏のしかたを見つける等)。

選択肢・その3「痛みをやめられるように演奏を変える」

 痛みにはさまざまな原因があるはずです。痛みというのは、自分という生命維持装置からの警告だといえます。「その使い方、無理だよ!」「やるなら、ほかのやり方にしてほしい!」というメッセージなんです。

 このように考えてみると、「痛いっ!」という自分の声をすべて聞き届けられるようにしておいたほうがよさそうです。

 自分にどんなことが起きているのか。自分に何をやらせているために、何が起きたのか……これを観察していくことが、構え方・姿勢を変えていく最初のステップです。観察もレベルアップさせていくことができます。

今回の結論「観察を始めよう!」

 たとえば、髪の毛の寝ぐせを直したかったら、鏡を見たほうが直しやすいです。初めは鏡に向き合うだけでしょう。そのうち後頭部を見るために、あわせ鏡をするようになります。さらに、自分と鏡の使い方を駆使して横からもヘアスタイルをチェックするようになります。そうなると、三面鏡だって自在に使いこなせるようになります。

 自分の気になるところを詳しく調べることができるようになると、寝ぐせを直すだけでなくなります。作りたいヘアスタイルを作る事ができるようになっていきます。

 演奏も同じなのです。「ここが痛い」「ここが弾けない」ということを、丁寧に観察して演奏を変えていくことができるようになると、痛まない構え方ができるようになります。弾ける姿勢を見つけられるようになります。

 弾けないことが弾けるようになっていくことが楽しめるようになります。そして、痛みが消えてしまうと、今度はいままでは思いもよらなかったようなところに、音楽表現のためのエネルギーが向かい始めていきます。

いちろーたはこうしている

痛みを観察してみよう

 痛みを感じるのは、どんなとき?あるいは、痛みに気付くのはいつ?

 痛みを感じる直前にやっていたことは、どんなことだっただろうか?

楽器を弾いている間じゅうずっと?
楽器を構えるとき?
楽器で音を出し終えて、構えるのをやめるとき?
音を出し始めるとき?

 楽器をひいていて、カラダが痛くなってしまうのには、原因があります。無視せず、向きあってみることで、重症化せずに、ラクに演奏を楽しむことができるようになります。

-体の仕組み・動きを考える