【挟み方の脱力のために】バイオリンを操る2つのチカラとは

2019/10/13

【脱力のこと】バイオリンを挟む2つのチカラを使い分けましょう

言葉の扱いから構えを見直すこともできます。

言葉の扱いは実に面倒くさいものです。もっとも、だからこそ面白いのですけれど。

言葉の定義を見直すだけで演奏が見違えてしまうことは少なくありません。

「脱力」という言葉もそのひとつ。

「脱力しなさい」と言われて何をするでしょうか。

力を出すのをやめることが脱力だとしたら、いちろーたがいま思いつくのは「床に寝転ぶ」を選びます。本気で力を抜いて、安全にその場にいるためには、寝るくらいしかないといちろーたは考えるからです。なにしろ、立つにしても座るにしても、力を使わずにはできませんから。

演奏を成り立たせるための脱力として考えるならば、脱力とは力を出すのをやめることではありません。

《力の出し方・組み合わせ方を変えることが脱力だ》と言うのがちょうどいいのではないでしょうか。

 

では、その脱力をするにはどうしたらいいのでしょうか。

力の組み合わせを考えるヒントとして、バイオリンを構えるための動き力を例にあげて考えてみましょう。

バイオリンを構えるときのことを思い出してください。

すでにアゴがアゴ当てに置いてあるとしましょう。

その状態から、アゴをアゴ当てに向けて押しつける力を強めたかったらどんな方法が思い浮かぶでしょうか。

大きく分けて二つの方法があります。

ひとつは筋力に頼る方法。たとえば首を固めて鎖骨を持ち上げるのはこちらに分類できます。

もうひとつは頭の重さを使う方法。頭の重さを首からアゴ当てに移すために《頭と首の関節》を動かしたり首の筋肉をゆるめたりするのはこちらに分類できます。

どちらの方法が優れているかは、ここでは議論しません。大事なのは、この2つのやり方を区別できるようになることです。

選択肢が多いほうが演奏のテクニックが制約を受けにくくなり、より自由な表現ができるようになるからです。

筋力を使う方法を極めつくしたはずなのに行き詰まりを感じているのなら、筋力とは違う力を使う方法はないか考えてみるのも一つの手です。

そうすることで、それまで使っていた「筋力を使う方法」とは別の「筋力を使う方法」が新たに見つかったり、それらを切り替えて使えるようになったり、ということが簡単にできるようになりますよ。

 

-肩あて・あご当て