弦楽器奏者のためのやさしい身体の使い方

練習を楽しむコツ、上達に不可欠な心と体のセルフケア。バイオリン応援団☆いちろーたが書いてます。

二胡奏者にも役立つカラダの使い方(出張レッスン記録)全身で演奏する・苦手な指でもビブラートをかける方法

2015/03/15

2013年8月2日(金曜日)

 二胡奏者Kさんから依頼を受け出張レッスンをしてきました。およそ90分間。

 気になることをお聞きしたら、二胡の先生から言われていることが大きく2つあるとのこと。

カラダ全部を使う
右手と左手を連携させる

 教えそのものは、道理に適っています。何も問題ありません。ですが、
Kさんのお話から聞こえてきたのは「先生の教えを具体的にどう演奏に活かしていけばいいのかがわからない」ということでした。

体全部って何だろうか?

 Kさんに、わたしは問いかけました。「体全部って言いますけど、カラダって何でしょうね?」

どこからどこまでが自分の体なのでしょうか。
自分の触れている衣服や、自分が今いる空間はどんなものなんでしょうか。
自分が自分の身体をどんな状況においているんでしょうか。

体全部を使うための実験2つ

 ブログなどですでに紹介したことのあるアイデアなので、ご存じの方も多いかもしれません。体全部を使うための実験をKさんにも体験してもらいました。

実験1 楽器と自分との関係を変えまくる

a. 絶対に動かない楽器
Kさんが普段どおり演奏するんですが、いちろーたが楽器を固定します。Kさんが演奏するときにちょっと動かそうとしてもその動きを出来ないように邪魔するのです……今回はいちろーたが二胡のアタマとオシリを支えて固定しました。Kさんのする弓の動きや、左手が弦の触る場所を変えるために動かそうとするときに、楽器の姿勢が変わるような力を与えてくるのがわかりました。
b. 逃げまわる楽器
Kさんが演奏しようとすると、いちろーたが楽器を支えたまま、より演奏しにくい方向へと逃げていきます。先生役は楽器と弓の関係を注意深く観察しながら動かす必要があります。周りの壁や障害物などにも気を配りながら……。
c. ただ居てくれる楽器
Kさんが楽器を持ち、Kさんが弓を持って演奏します。言ってしまえば、普段どおりのことです。

 これで十分な変化が有りました。aとbのステップを経ていることで、演奏者であるKさんには、普段と異なる身体の使い方をしたことで、楽器を演奏することへの先入観から脱皮できているんです。

実験2 普段と違うモノを演奏する

 今回はたまたま、いちろーたがバイオリンを持参していたので、Kさんに二胡ではなくバイオリンを持ってもらいました。これだけでも、十分な刺激なんですが、さらに決定的な違いを体験してもらうためにさきほどのa,b,cという3ステップを体験してもらいました。

ビブラート

 Kさんから「小指・薬指でのビブラートがうまくいっていないので見て欲しい」というリクエストを頂きました。

ビブラートはどこが何すればいいのか?

 指によってビブラートの得手・不得手にばらつきがある場合に有効なアイデアがあります。それは「ビブラートは手のひらで掛ける」です。Kさんとのレッスンでは、実際に手のひらで弦に触れてもらいました。たったそれだけで解決しました。応用が効くようにビブラートエクササイズを紹介します。

苦手な指のためのビブラート・3ステップ・エクササイズ

ステップ1. 4本の指を軽く揃えてビブラートする
人差し指から小指までの指を、指先から根元まで隙間がないように、ごく軽い力で閉じ合わせるようにしておいて、ビブラートを掛けます。ビブラートを掛けている間も指が閉じたまま、ごく軽い力で閉じ合わせるようにしておきます。そのビブラートを、人差し指から小指までそれぞれ試してみてください。どんなことに気づきますか?
ステップ2. 4本の指をごくわずかに離してビブラートする
人差し指から小指までの指を、指先から根元まで、ごくわずかな隙間を開けます。お互いがふれあうかどうかの微妙な距離・空間を作りながらビブラートしてみます。これも、人差し指から小指までそれぞれ試してみてください。どんなことに気づきますか?
ステップ3. いつもよりほんのちょっと丁寧にビブラートする
このステップ3をやる前に、もう一度ステップ1とステップ2をやってみてください。それぞれのビブラートのやり方でどんな違いがあることに気づきますか?違いを見つけられたなら、ステップ3に進む準備ができました。ステップ1やステップ2で気づいたことを活かして、必要な音程のための指の置き場所でビブラートを使ってみてください。初めはゆっくり丁寧に。使い方に馴染んできたら、ちょっと乱暴に扱ってみて変化を楽しんでみてください。

タネ明かし・その1『手のひら=指の根っこの隠れ基地』

 手のひらには指の付け根が隠れています。手の甲を触りながら指を曲げ伸ばししたり、《むすんでひらいて》してみると、《指の骨としての手のひら》が実感としてわかりやすいです。

タネ明かし・その2『指はバネ&クッション』

 指は、弦とのふれあいを保ち続けるために伸び縮みしてくれるバネであり、その伸び縮みの衝撃を吸収するクッションでもあります。残念なことに、その働きがあるから、弦に触るちからが強すぎても演奏を続けることができてしまうんです。

タネ明かし・その3『隠れ基地を運ぶのが《肩・肘》の仕事』

 指先をお目当ての音程の場所に置くことができるように、《手のひら=指先の隠れ基地》を運ぶのが、肘や肩の仕事です。ここでいう肩は、鎖骨と胸骨のふれあう関節に始まる腕構造のことです。

盛りだくさんの90分

 実際のレッスンでは、ここに書ききれないくらいの会話があり、Kさんは実験を通して私が伝えたかった以上のことを学びとってくださいました。

最後に…「カラオケボックスでのレッスンはおすすめです!」

 今回は都内のとあるカラオケボックスでのレッスンでした。エアコンも効くし、飲み食いしたければ注文できるし、昼間だと空いているので意外といいかもしれませんね。


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