【ばよラボQ】ViolinMuscle-Arm3. バイオリンに一番近い筋肉・解説編3(指先の動きを作る筋肉は、どこから始まっているか?)

バイオリン応援団☆いちろーたです。

前回の記事では、
指を動かす筋肉が、手からどこまで伸びているかによって
「外在筋」
「内在筋」
という2つの分け方ができるというお話をしました。

指先から、手首を通りこえて、手の外とつながって動きを作るのが「外在筋」といいます。
手のなかにある部品同士をつなげているのが「内在筋」といいます。

今日は、指を動かす主役「外在筋」のなかでも、
指先を動かす専門の筋肉についてお話します。

いちばん動き回る「指先」の仕組みとは?

バイオリンのネックを持ったり、
指板・弦に指で触ったりするときに、
バイオリンの一番近くで働くのは、
なんといっても《指先》ではないでしょうか。

《指先》

つまり、指の先っぽ、末端ですね。

《末節骨》指先の骨が動ける仕組み

指の末端の骨を「末節骨」(まっせつこつ)といいます。
どの指でも、指先の骨のことを「末節骨」と呼びます。

末節骨につながって、動きを作る筋肉は6つあります。

・長母指伸筋〔ちょう・ぼし・しんきん〕
・小指伸筋〔しょうし・しんきん〕
・示指伸筋〔じし・しんきん〕
・(総)指伸筋〔(そう)し・しんきん〕
・長母指屈筋〔ちょう・ぼし・くっきん〕
・深指屈筋〔しん・し・くっきん〕

指先を「曲げる」「伸ばす」仕組み

この6つの筋肉の名前を見てください。
2つのグループに分けられることに気づきますか?

伸筋=指を曲げる
屈筋=指を伸ばす

この2グループです。

★体にやさしい豆知識

指や腕が痛くなりやすい人は覚えておいてください。

「曲げる」と「伸ばす」を同時にやると、
お互いの動きが相殺されてしまうために、
疲れるわりに動きが悪い、という結果になります。

また、動けているけど、
「動きにかたさを感じる」
「動作から、ぎこちない印象を受ける」
というときには、

こうした相反する動きが拮抗していることがようです。

これを解消するには、
曲げるか伸ばすか、どちらが必要な動きであるかを明確にして、
必要な動きを、思いっきりやりましょう。

動きを洗練させるのは、それからでも大丈夫です。

さて、話を戻します。

指先を直接動かす6つの筋肉

末節骨につながって、動きを作る筋肉はこの6つです。

・長母指伸筋〔ちょう・ぼし・しんきん〕
・小指伸筋〔しょうし・しんきん〕
・示指伸筋〔じし・しんきん〕
・(総)指伸筋〔(そう)し・しんきん〕
・長母指屈筋〔ちょう・ぼし・くっきん〕
・深指屈筋〔しん・し・くっきん〕

ところで、
この6つの筋肉はどれくらい長いものか知っていますか?

指先を直接動かす筋肉はメチャ長い

長さの見当をつけるために
これら5つの筋肉がどこから始まっているかを、たどってみましょう。

長母指伸筋
……手首と肘の中間地点あたり、尺骨の中央からはじまって、母指(=親指)の指先まで。
……※親指を立てる動き「グッド!」をするときに使われます。

小指伸筋
……ひじのあたりから。上腕骨の端からヒジ関節を越えて、小指の指先までのびています。
……※手の指を大きくひらくときに、使われます。

示指伸筋
……手首と肘の中間地点あたり、尺骨後面からはじまって、手の甲側を通って、示指(人さし指)の指先まで。
……※人さし指を立てて「1」を示すときや、人さし指でものをつつくときに使われます。

(総)指伸筋
……ひじのあたりから。上腕骨の端からヒジ関節を越えて、手首をこえたあたりで枝分かれをして、親指以外の4本の指先までのびています。
……※手についた水を前に飛ばす動き(人さし指から小指までの指をはじく)ときに、使われます。

長母指屈筋
……肘と手首のあいだ、手首よりは肘に近いほうの橈骨前面から、親指の指先までのびています。
……※指相撲をするときや、ライターに火をつけるときに使われます。

深指屈筋
……前腕の、肘から手首にかけて3分の1くらいの範囲からのびて、手首をこえたあたりで枝分かれして、親指以外の4本の指の指先までのびています。
……※左手ピチカートで弦をはじくときや、楽器ケースの取っ手を握るときに使われます。

※注意※
ここでは、説明のために、「この動きをするときに、○○筋が使われる」という書きかたをしました。
実際には、ほかの筋肉の動きを借りている場合もあります。
動きを注意深く観察してみましょう。

指を動かしながら、これらの場所を触ってみると、
指の動きをつくるのが、手の中だけの筋肉ではないことがわかります。

しかも、これらの場所は、指先からだいぶ離れています。

筋肉の始まりから終わりまでのあいだに、いくつの関節があるのでしょうか。
ずいぶん多くの関節をまたいでいるようです。

2つ以上の関節をまたぐ筋肉は、
複雑な動きを、精密にコントロールする働きができます。

手の外在筋たちが、いくつの関節をまたいでいるのか、
興味のある方は、ぜひ調べてみましょう。

指先を直接動かすための筋肉は、指先から手首をこえて前腕まで伸びています。
あるいは、肘関節をわずかにこえて、上腕骨にまで伸びているんですね。

これら指先から肘にまで伸びている筋肉が、互いに抵抗しあっていると、
バイオリンの練習をしていて、肘関節周辺に痛みを感じることになってしまいます。

まとめ★筋肉グループAのポイント

指を動かす筋肉は「外在筋」と「内在筋」にわけられる。

「外在筋」は、いくつもの関節をまたく「多関節筋」
関節をたくさんまたぐほど、ひとつの筋肉で複雑な調整ができる。

ここまで3回にわたって、
指先の筋肉をていねいに解説してきました。

思ったより長くかかってしまいました(^o^;)

なぜこんなに手間ひまかけて説明してきたかというと
理由があります。

それは、
私の経験上言えることなんですが、

ここまでの内容を
《ただ知っておくだけ》でも、

・動きが楽になったり
・演奏が楽しくなったり
・技術上の困難が解消したり

ということが起きてしまうからなんです。

だからこそ、バイオリニストにとって、
カラダの使いかたを学ぶ意味があるということを
こうしてみなさんにお知らせしています。

お役に立ったなら、ぜひお知り合いにもご紹介くださいね。

さあ、このシリーズはまだまだ続きます!

次回は、Bグループの筋肉
「裏板を支える鎖骨周辺の筋肉」
について考えていきます。

次回もどうぞ、おたのしみに!
(1週間後に公開予定です)

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