バイオリン応援団の弦楽サプリ【#010】シンプルボウイングをマスターしよう(2)「腕の仕事は2つ」その1・弓を持ちあげる......を練習するには?
2014/07/16
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「弓を動かす」に隠された秘密
「弓を動かす」ということばには、大きな2つの秘密が隠されています。
ひとつには、弓を持ちあげるということ。もうひとつは、弓の向きを変えるということです。
学習のポイント
今回の動画で学んでいただきたいポイントは、2つあります。
1つめは、弓には、「重さ」と「長さ」という、個性があるということを学んでいただきたいのです。弓というのは、どれも同じではありません。ひとつひとつが、似たようなカタチをしていますが、よく見ると違いがあるからです。弓を扱う時には、いま手のなかに持っている弓が、どれくらいの重さがあって、どれくらいの長さがあるのかに気づいたままでいるようにしましょう。
2つめは、弓を動かすには、いろいろなやり方があるということを学んでいただきたいのです。やり方というのは、演奏のために弓を動かすとき、どんな方向に動いていって欲しいのかを考えることです。それとは別に、弓を動かすために、弓にどうやって触ったらいいか、弓を動かすために演奏する自分自身がどう動けばいいかということを考えることも「弓を動かすやりかた」といえます。
いちろーたはこう思う「ボウイングの学び方」
弓の動かしかたを「運弓法」と言います。運弓法というのは、法律のように「これをしてはいけない」「あれをしたら、こういう罰がある」というものではありません。むしろ、算数や理科を学ぶのと同じように、原理・原則を学んだうえで、現実的に効率よく解を得るための公式の使いかたを身につけ、この世界のいろんなできごとを説明したり、実験証明して再現するようなのようなものではないでしょうか。
「運弓法」を学ぶには、「こういうことをすると、こんな音が出る」という、いくつかの基本的な原則を学びます。その原則を使って、仮説を立て実験をします。
「こんなやり方をすると、こんな音が出るはずだ」
「でも、実際に出た音とは、こんなふうに違った。それはなぜだろう?」
と実験によって得た新たな情報を、分析し、新たな仮説を立てる……このような着実な行動を重ねてゆくことなのです。この過程こそが、練習と呼ばれているものであり、上達のプロセスそのものです。この過程を自力で進められるよう習得させることが、教育の目的ではないでしょうか。