シリーズ「バイオリニストのための動きの解剖学」へようこそ!
このシリーズは、多くのバイオリン奏者が勘違いしやすいテクニックとカラダの関係を解きほぐすヒントとして、解剖学の知識を借りてテクニックのことを説明してみようという試みです。
ちなみに、解剖学とはなにかというと、《人の体の仕組みを説明するための言葉づかいのルール》だと思っておいてくださいね。
解剖学はサプリメント
結論を先に書きました。この記事のタイトルに書いたように、弦楽器奏者にとって解剖学はサプリメント(補助栄養食品)です。
演奏がうまくいっているなら、解剖学を学ぶ必要はないです。
どういうことかというと、「本当にやりたいことをやるために、しかたなくサプリメントを使っている」ということです。サプリメントがなくても、やりたいことがやれるなら、サプリメントは要りません。
やりたい演奏ができているなら、わざわざ解剖学を学ぶ必要なんて、ぜんぜんありません!!!!!
でも、あなたが次のように感じているなら、解剖学は役に立てるかもしれません。
「もっと変われる気がする」
「いまできていることを、さらに洗練したい」
「知っていることを、的確に説明できるようになりたい」
などなど……
バイオリニストのための知的サプリメントあれこれ
解剖学の他にも、バイオリニストにとってのサプリメントがあります。たとえば、運動生理学、栄養学、家政学、物理学、数学、語学……あらゆる教養は演奏するときに役立てることができる知的サプリメントといえるでしょう。
アレクサンダー・テクニークはサプリメントか?
アレクサンダー・テクニークは、サプリメントではありません。むしろ、サプリメントをどう使えばいいかと指導する栄養士さん・薬剤師さんのような存在といえるかもしれません。アレクサンダー・テクニーク教師のレッスンを見た人は、病気やケガを治療する過程で援助してくれる理学療法士さんと似ていると感じる人もいます。
サプリメント無しでも、満足のゆく演奏ができるようにお手伝いをしてゆく……どんなタイプの教師・指導者でもそのような願いを持っていると思います。私が思うアレクサンダー・テクニーク教師の特色とは、学習者自身が自立するためなら、あらゆるサプリメントを探して、学習者自身が気に入ったやり方を見つけるまで試しつづけることを怖がらないということです。
ちょっと脱線気味になってしまいました。
大切なのは演奏することであって、それがうまくいくために、様々な知識を借りて使っているということを言いたかったのです。役に立つ知識を仕入れることはおもしろいことですが、解剖学を学んでいる時でも「演奏したい」という気持ちを思いだしてみてくださいね。