ヴィオラ:「肩あてが合わない」(ただ乗せて、とめる)楽器をアゴと肩で挟みこむのをやめると倍音が豊かに響き始めます

腰痛トレーニングの成果が出始めて、
腰痛は良くなってきたけど、
肩あてがどうもしっくりこないのよね。

なんとかならないかしら?

 友だちがお住まいの近隣コミュニティのためのコンサートをするので、そのお手伝いのための練習をしていました。その合間のコーヒーブレイクで、「ヴィオラをひくときに肩あてがあわないのよね」と話題になって、そのままレッスン開始……。

ヴィオラを構える3ステップ

 最初は拾い読みでオッケー。よくわからないときは、注意深く読んでみてくださいね。

  1. 見る
  2. 動かす
  3. 止める

 本当にこれだけです。もうちょっと説明しましょう。

ヴィオラの構えをつくる・その1. 見る

 (弓は別の場所に置きましょう)

 手に持っているヴィオラを見ましょう。まだ構えなくていいです、おろしておきましょう。ヴィオラのどこをカラダと触れ合わせたいですか?「ヴィオラの《この範囲が触れて欲しい》」と右手の指で指し示してみましょう。

 自分の身体を見ましょう。どこにヴィオラが触れて欲しいですか?「ヴィオラの《あの範囲》は、自分の《皮膚のこの範囲》に来てくれる」と、右手の指で指し示してみましょう。

 それぞれを、よく見ましょう。よーく見ましょう。どれくらい離れていますか?どれくらいの空間がありますか?

いまヴィオラの《身体に触れて欲しい範囲》がある場所から、目的地である身体の《ここに楽器が触れてほしい・という皮膚の範囲》とのあいだは、どれくらい離れていますか?

ヴィオラの構えをつくる・その2. 動かす

 さあ、動かす準備をします。おっとっと、動かすのはまだですよ。

 まず、スタート地点の確認。もう一度、手に持っているヴィオラを見ましょう。身体に触れて欲しいのはどこでしたっけ?それがスタート地点です。その《体にふれて欲しい部分》が、いまから運ぶ対象です。

 おっとっと!!まだまだ……動かすのはまだです。スタート地点に戻ってください。ゴール地点を確認しましょう。自分の身体の皮膚表面のどこからどこまでがヴィオラと接するんでしたっけ?思い出しましたか?思い出せたら、準備完了です。動かし始めましょう。

 スタート地点からゴール地点に向かってヴィオラが動き始めますよ。頭が動けて、自分全部が動けるようにしてあげて、ヴィオラの《身体に触れてほしい部分》をゴール地点に向かわせていきます。

ヴィオラの構えを作る・その3. 止める

 まず、ヴィオラがゴール地点についたら、動かすのを「とめる」。

 そして、頭が動けて、鼻先を楽器の方に向けて軽く下ろすことで、あご当てを軽く「とめる」

知らずにやってるアノ動き

 ちょっと待った!!!ゴール地点に向けて動かしていたヴィオラの動きを止めるのであって、ヴィオラに向かってアゴを押し付けたり、ヴィオラに向かって肩を押し付けたりしていませんでしたか?それをやってしまった自覚があるなら、もう一度やり直しましょう。

 「そんなことやったかなぁ?」という半信半疑な人もやり直し!

 でも実は「全然そんな事やっていない!」という人も、ほとんどの人がやり直しです。ホントに全然やってなかったですか?1ミリも押し付けなかった?

 「1ミリくらいは動かしていたかもしれない」おお、すばらしい。どれくらい動かしていたかを自覚できたら合格です。

補足説明(よくある間違い)

 よくある間違いがここで起きます。この2つの「とめる」のときです。力を使い過ぎたり、「そこまでしなくていいのに!」という動きをたくさんしていることがあります。

 たとえば、あご当てを「くわえ込む」ような動き。そして、肩あて・楽器の裏板へ肩を押し付けることであご当てとアゴを密着させようとする動き。……心当たりはありますか?この2種類の動きは思い切ってやめてみましょう。それでも、うまくバランスをとるためにデリケートに動き続けることで楽器を構えていることはできます。

補足説明(あごあて・肩あてはオマケ)

 構えを作るために一番大事なのは、自分と楽器との関係を作ること。つまり、どんなふれあうかということです。あご当ても、かたあても、そのためのお助け道具なんです。

 ヴィオラも人間の体も、複雑な曲面でできているので、ぴったりフィットさせようとしても無理があります。でも実は、楽器を演奏するうえでは、ぴったりフィットする必要はありません。

 なぜなら、音を出すためには楽器と演奏者はお互いに自由に動けるほうが都合がいいからです。楽器をがっちり身体に固定するということは、巨大なミュートを装着するようなものです。せっかくの共鳴箱の振動を止めてしまうんです。また、同時に体の動きを制限することでもあります。

 ためしに、自分の楽器を誰かに持ってもらった状態で弾いてみるといいんです。楽器から出る音はどうですか?自分の身体の動きはどうですか?なにか邪魔されている感じはありますか?それとも解放されたような感じがありますか?

 先ほどの《構えの作り方3ステップ》を使ってもう一度構えてみましょう。そして、開放弦や簡単なフレーズを演奏してみましょう。もしも気に入ったら使ってみてくださいね。

ここまでレッスンだと5分足らず

あれっ??すごく楽になっちゃった……?!
なんで??

でも、いままでものすごい力で挟みつけていたのがわかるようになった。
そっか、そうだったんだ……。なんか、全然疲れないね。
「こんなにラクしていいの?」って感じ。

 と、ヴィオラKさん本人はびっくりしていました。

 この様子を見ていたピアニストMさんも驚きの声をあげていました!「えーっ、どんな魔法をかけたのー?すごいねー。音が変わっちゃった!」と。

 こうして動きの質を変えるだけで、痛みが消失するケースもあるんです。しかも、音が変わる。今回は、倍音が豊かに響くようになりました。単調な音色でなく、複雑な表情をもった音色へと変化しましたね。「木の音がする」とか「シルバートーン」とかいわれるような部屋全体に響くぬくもりを帯びた音とも形容されるような音でした。ヴィオラっていいですねー。

実際は5分足らずの出来事

 長々と書いてきましたが、動きを変えるアドバイスを始めて、ご本人が新しい動かし方に納得して取り入れるまでにかかった時間は、実際には5分足らずのことでした。

 私が言葉で説明しつつ、手で動きを助けたり・邪魔したりしました。この記事では、手でやったことに込めた意図までも説明したので、ものすごくめんどくさいように感じられるかもしれませんね。初めは見出しだけ拾い読みをして実験してみるのがオススメ。うまくいかなかったら、注意深く読み返してもらえたらいいかなと思います。

 どうぞ試してみてくださいね。

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