【禁句に挑戦?!】バイオリンの構え方「手首をやわらかくしなさい」「指弓を使って!」と言われた時のなおしかた(あるいは、言いたくなった時の教えかた)
2016/05/22
バイオリンの構え方で、
「手首をやわらかくしなさい」
「指弓を使いなさい」
と言われたことはありますか?
(あるいは、教えていて、そのように言いたくなったことはありませんか?)
大きなカン違い?!……手首はかたくもない、そして、やわらかくもない
「手首がやわらかい」って、どういうこと?
みなさん、ちょっと思い出してみてくださいね。「手首をやわらかく」と言いたくなるとき、本当はどういうことを言いたいのでしょうか?別の言い方を見つけてみましょう。
わたしはこう言っています
「手首をやわらかく使おう」と言いたくなったら、たとえば「手首が動けるような使い方をしよう」と言いかえるようにしています。
手首の実験をしてみよう!
手首はやわらかくて、でも、かたいものでもあります。手首を曲げてみてください。大きく曲がる方向と、少ししか曲がらない方向があることがわかります。
こんどは、「これ以上は曲がらない」ところまで、手首自身の力だけで曲げてみましょう。こんどは、反対側の手も使って手首を曲げてみましょう。手首自身の力だけで曲げた時よりも、ほんのわずかですが大きく曲げられることがわかります。
こんな、ちょっとした実験からわかるのは、手首は使い方次第でかたくもなり、やわらかくもなるということです。
・かたい(動きが制限されて、動きが小さく、にぶくなる)
・やわらかい(動きが解放されて、動きが大きく、速く正確になる)
いかがでしょうか?
手首をやわらかく使うには?
手首がかたいのには、いくつか原因があります。
ポイントがいくつかあります。
手首がかたくなる3つの原因とは?
1つは、意識的に固めているために動かなくて、かたくなっている場合です。
2つめは、手首がどう動けるかを知らないために、無理な使い方をしているせいで「ありえない方向へ曲げようとしているために、曲がらない」ということが起きて、そのせいで「動きづらく感じる」のを「かたい」と言い表したくなる場合です。
3つめは、手首を曲げようとする動きと伸ばそうとする動きが(理由をとわず)同時に起きてしまっているために、どちらにも動きが起こらず、固まってしまっている場合です。
1つめと3つめの「かたさ」は、似ています。ちがうのは、意識的にかたさを作っているかどうかです。
運動生理学や解剖学などを専門に勉強されている方からはお叱りをいただくかもしれませんが、弦楽器奏者のレッスン現場で「手首がかたい」「手首をやわらかく使って!」という声が聞こえた時には、このような3タイプの「かたい動き」が起きているといえます。
結局、どうすればやわらかくなるのか?
方法は1つではありません。いくつもあります。
一つの方法は「手首が動きやすいように、カラダ全部を使う」と思うことです。
もうひとつだけ紹介しておくと、「リーディングエッジを使う」という方法があります。簡単に言うと、バイオリンのボウイングをするときには「弓の毛を動かす」と思うことです。別の例で言うと、ペンで字を書くときに「ペン先が動いて字を書ける」とおもうことです。
リーディング・エッジについて詳しく知りたい方はこちらの記事(リーディング・エッジを含む記事)も読んでみてください。
指弓と手首の関係
指弓については、今回は詳しく触れませんでしたが、「手首」を「指」に置き換えて読んでいただくと、ほとんど同じことがいえます。指は動きの可能性(可動性)が手首と深い関係にあります。まずは手首をやわらかくつかえるようにすることが、指弓の上達を支える基礎となることをおぼえておいていただきたいと思います。