弓を持つ右手の指がつっぱる人へのアドバイス(その2)「弓毛と弦の弾力をいかそう」

「親指や小指がつっぱるのがなおらない」「右手がすぐ疲れる」
「音がかすれる」「音がつぶれやすい」
「そば鳴りする」「音色がつまらない」

 弦楽器奏者の悩みはつきません。ですが、右手の使い方をちょっと気をつけるだけで、こうしたことが解決することがあります。実際にレッスンで試して、効き目のあったアドバイスをご紹介します。ちょっと試してみませんか?

「弾力、張力をいかしてみよう」

 今回ご紹介するアドバイスは「弓毛の弾力、張力をいかそう」ということです。たとえば、バイオリンから音を出すために、弓毛が弦をこするときに音を出す仕事をしているのはどこだと思いますか?

 音を出す振動を作っているのは、弓毛と弦がこすれあう動きです。音を出す仕事は、弓の毛と、バイオリンの弦がやっています。バイオリン奏者の仕事は、弓や楽器が動けるようにして、音を出すような動きをさせる……そのために体を動かすのがバイオリン奏者の仕事です。

よくあるアドバイス「圧力をかける」の害悪

 ボウイングを指導する際に「圧力をかけて!」という言い方をしていませんか?あまりおすすめできません。圧力をかけようとすると、弦の振動を押しつぶす動きが生まれます。その他にも、弓の動きを制限する動きや、楽器を動かさないようにする動きも生まれます。これが、弦の振動や、楽器の共鳴するはたらきを邪魔してしまうことになります。ですから、「圧力をかけて!」という言い方は避けたほうが賢明といえます。

 では、どうアドバイスすればいいのでしょうか?

 そこで使って欲しい言い方が「弾力をいかそう」ということなのです。弾力は「はずむ力」「跳ね返そうとする力」として感じ取ることができます。弾力は、弓の毛を張っているために起こる力です。弓の棹(さお)のバネとしてのチカラでもあります。バイオリンにはってある弦にも弾力があります。弓の毛と弦を出会わせれば、あとは弓毛と弦が音を作ってくれます。

 奏者が、細かいことを指先や体を使って何とかしようとしなくてもいいのです。奏者が注意を向けるのは「いま、この次の瞬間にどんな音楽をしたいのか」「そのために、いまどんな音を作りたいのか」「そのために、楽器にどうかかわるか…弓毛と弦とをどう出会わせるか」です。私はそのように気をつけています。

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