バイオリン:「移弦のとき、駒と指板のあいだで行き来してしまう」《移弦習得エクササイズ・超基本編2》(ペアで実践、弓の動きを駒と平行にしよう)

移弦のときにリズミカルにできず、
またボーイングも指板と駒の間を行き来してしまう。

 前回に続き、バイオリンHさんのレッスン復習ノートです。テーマは移弦。今回は、「駒と指板の間を行ったり来たりしてしまう」ことの解決アイデアです。

 前回記事はこちら→→バイオリン:「移弦がバタバタする。リズムに乗って移弦したい」《移弦習得エクササイズ・超基本編1》〜「重音で練習して」「円を描きなさい」の意図とは?

おさらい:移弦とはなにをすることか?

 まず、移弦についておさらいします。移弦とはなんでしょうか?

最初に思い出すのは「頭が動けて、自分全部が動ける」
移弦とは「弓の毛を、2本の弦の間で乗せかえる」
指の仕事は「バランスをとり続けるために」「デリケートに動きまくる」
バイオリン:「移弦がバタバタする。リズムに乗って移弦したい」《移弦習得エクササイズ・超基本編1》〜「重音で練習して」「円を描きなさい」の意図とは?より

駒と指板の間で揺れ動く……なぜ?

駒と弓は平行に

 駒からの距離が一定にならないとき、その原因は弓の毛の往復運動が駒と並行になっていないからです。ですから、こう言い聞かせましょう。

弓は、駒と平行に当てて動かす

ボウイングのヒント(動きの先端を意識しよう)

 《動きの先端》という考え方があります。《リーディング・エッジ leading-edge》ともいいます。モノを動かそうとするときに、動かす対象物が、どう動いて欲しいかを意図しようという考え方です。動かすための筋肉や関節をどう動かそうかと考えるのではなく、です。

 これが、ボウイング(弓運び)を駒と平行にしようとするときにも役立つ考え方です。

動きの先端(リーディング・エッジ)を使ってみよう

 たとえば、ダウン・ボウ(下げ弓、引き弓)のときには、弓の毛箱側の端が弓の動きを先導しているところへ、指や腕・体全部でついていく。

 アップ・ボウ(上げ弓、押し弓)のときには、弓のチップ側が弓を先導して動いていき、指や手首・肘など腕・身体の全部は弓のチップの動きについていきます。

 じつは、リーディングエッジを他の場所に想定することもできます。たとえば、弓の毛と弦のふれあう点です。弓のどちら向きの動きの場合でも、弓の毛が弦に触れることが、動きの目的だからです。

 もっというと、楽器から出る音――空気を伝搬して伝わる振動――をリーディングエッジとするのも面白い試みですね。

移弦習得エクササイズ・超基本2(ペアでやる版)

やり方 1. 他の人に見てもらう

 弓毛が弦を乗り換える動きをするときに、駒と弓の角度がどうなっているかを確かめるのが目的です。

 練習パートナーがそばにいる場合は、見ていてもらいましょう。必要に応じて、弓の動きが《駒と平行》でいられるように、動きを手で調整してもらってもいいと思います。

やり方 2. 他の人がまっすぐに動かして、それについていく

 演奏者自身が弓を持っていてください。ですが、弓を動かすのは練習パートナーです。ゆっくりと弓を動かします。駒と弓の動きが平行でいられるように、パートナーは弓を動かし続けます。演奏者自身は、パートナーが動かしてくれる弓の動きに、自分の指や体全部をついて行かせます。

 《動きの先端(リーディング・エッジ)》のことを思いながらやっていましたか?もう一度やってみましょう。

やり方 3. 自分で《動きの先端》を思い描いてやってみる

 弓が動く《通りみち》を思い浮かべて、弓の毛と弦をこすります。

体験をシェアしましょう

 演奏する人、見る人の役割を入れ替えましょう。

 それぞれのやり方でどんな違いに気づきましたか?……演奏者は何に気づきましたか?弓の動き、音、身体の動きにどんな変化がありましたか?……見ていた人は何に気づきましたか?見つけたこと、感じたことをシェアしましょう。

移弦習得エクササイズ・超基本2(ひとりでやる版)

やり方 1. わざと平行でなく演奏する

 弓毛が弦を乗り換える動きをするときに、駒と弓の角度が平行でないように当てておいてから動かし始めます。

 弓を動かす力に対して、弓はどんな動きをしようとしているように感じましたか?

 角度をさまざまに変えて、弓の動きの変化を観察しましょう。手応えの違いや、音の変化との関係を見つけましょう。そして、メモに書き留めてみましょう。

やり方 2. 駒と平行(弦と弓が直角)にして、動かし始める

 弓が駒と平行になるように弦に置きます。別の言い方をしておくと、弦と弓が直角に交差するように置きます。そして、動かし始めます。

 わざと平行からずらして動かし始めたときとの違いはありましたか?どんな違いがありましたか?

こちらも参考になりそうです

 もうひとつは、弓を駒と平行にするか、ちょっと角度をずらすことで、弦を弓でこすりつつ駒寄りと指板寄りを自在に移動できるヨ、という話。
【新入生とのレッスン】30分で基本の総点検。先入観を打ち破るより

くどいけど、いちろーたは移弦をこう考えています

 移弦のアドバイス・コーチングの声掛けとして「丸をかくように」という場合があります。一定の効果があることから、この声かけは私も使いますが、注意が必要です。「丸を描くように=円運動の軌跡」は、「こする=1弦上での往復運動」と「毛が弦を乗りかえる=上下運動」を重ねあわせた結果として得られるものだからです。

 しかも、演奏者が自身の演奏を観察しようとするとき、見方によっては、移弦の動きは《円運動》とは見えにくいのです。これが、《移弦は円運動だよ》と教えることの危険性です。教師や練習パートナー(先輩&後輩、共演者など)は、本人の見え方と実際の現象のズレが常にありうることを知っておいたほうがよいでしょう。

 もちろん、逆の見方もあります。始めから円運動を得ようとしても良いのです。ただ、移弦の原理・道理を示さずに「円運動によって移弦ができる」としか教えないのは害悪ですらあります。

 私が移弦を教えるときは、「弓の毛で、1弦をこする」ことと「弓の毛が、弦を乗りかえる」ことが組み合わさって移弦できることを示します。そのうえで、「優れた移弦の動きは円運動のような、なめらかなカーブを描くものだ」と言うようにしています。


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