バイオリン:「速いパッセージになると、指が固まってしまい、ボーイングと左手がうまく連動できない」(速い練習・ゆっくり練習を使いわけよう)

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速いパッセージになると、指が固まってしまい、ボーイングと左手がうまく連動できない。

 バイオリンHさんのお悩みについて、レッスン復習ノートとしてご紹介します。

今回の要点

  • まずは「頭が動けるようにする」から
  • 左手がそれを準備して、右手がそれをひく
  • 右手がひき終えて、左手は次の準備をする

 これだけです。他にはありません。これをゆっくりだろうが、早かろうがやり続けるだけです。

速いまま演奏する

 《できても・できなくてもいい》ので、やりたい速さで弾いてみます。これをHさんにやってもらいました。

 つまづいて止まってしまいました。なぜ止めたのでしょうか?

ひけなかったから……

 《ひけても・ひけなくても》つまり《どんな音が出てもいいから》決めたところまでひくことにしましょう。反省はその後で時間を取ることにして。なぜなら、どんなに条件を整えたとしても、意図した音が出る確証は得られないからです。

 「この音が欲しい。だから体を動かす。あとは楽器よ、頼んだぞ!」で、楽器に自分の動きをインプットできます。そうすると、楽器がインプットを変換して音を作り出します。

 やりたい速さでやってみて、出てきた音をもとに「もっとこうしたい」という願いを見つけて明確にしていきましょう。

固まるのには理由があります

 Hさんの場合、速いパッセージで「指がどう動けばいいか」が明確でありませんでした。移弦する箇所で、左手も右手もどこへ動けばいいかに、一瞬の迷いがありました。

 観察によって得た情報を、どうやって演奏を変えることに役立てたらいいのでしょうか?

迷ったら、原点に帰ろう

 「やりたいこと」を明確にする。迷ったら、この原点に戻りましょう。

 これさえ見失わなければ、いくらでも工夫はできます。やりたい移弦のために、どんな動きを左手と右手にさせる必要があるのか、そして左手と右手の動きは、どんな順序で起こす必要があるのかを見ていくことにしました。

速いパッセージをゆっくり練習する意味とは?

 ゆっくり練習するのは、理解度のテストです。どこまで精密な計画をしてあるかがわかります。

 ゆっくりなパッセージをさらにゆっくりにしてみても同じです。全体像を見失わずに、それでいて精密な拡大図を用意してあって演奏を進行していく……速くしたり・遅くしたりするのが、全体と部分をそれぞれ面倒見ることの助けになります。

 ゆっくりの演奏によって、順序を厳密に検証することができます。順序が間違っていると、間違った音が出ます。

 この検証は、注意深く行いましょう。ひとつずつ動きを完結させてから、次の動きを起こしては完結させて、次へ、また次へと、動きを作っていきます。

 ひとつの動きごとに止まって確かめながらでOKです。止まる時間、次の動きを思い出したり・考えたりする時間をちょっとずつ減らしてみましょう。それが聴いている人に分からない程度まで短くすることもやってみましょう。

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