「楽器の音色が明るすぎる……」嵐の夜に思ったこと
嵐、大丈夫でしたか?
九州から北海道の方に旅行へ行った友だちが
「ぼくが、また、嵐を呼んでしまったのだろうか……」
とFacebookでぼやいておりました。
そんな嵐のなか、オーケストラの練習に参加してきました。
「やたら明るいな」
休憩時間に音を出していたら、
自分の楽器から聞こえてくる音が
底抜けに明るい音色だと感じました。
明るいというか、軽率というか……。
ふと思い出したのが、
とある楽器屋さんでのパーティーでのこと。
駒と魂柱
即席の調整会が始まりました。
来ていた演奏家たちが、ケースから楽器を取り出してはひいて
それを見たご主人が、その場でバイオリンの駒や魂柱の立ちかたを調整してゆくのですが
「コンコン」
と、わずかに駒を叩いただけで音色や音量・響きが変わってしまいます。
魂柱もまたしかり。
ぼくもやってもらいましたが、
ある劇団付きのプレーヤーとして活躍する先輩がこんなことをいいました
「いちろーた、ちょっと品がない音の出方だなぁ」
と。
言われたボクには思い当たることがあったので、
ちょっとひき方を変えました。
「おー、それそれ。いいじゃない」
と先輩も、楽器店のご主人もニコニコ。
さて、一体何が変わったんでしょうね。
「楽器」=「音楽の仕掛け」
弦をとりかえることも大事。
駒や魂柱のケアも大事。
では、楽器を扱う自分自身のことはどうでしょうか?
楽器を鳴らすとは、鳴るための仕組みへの働きかけをするということです。
鳴らしきるということは、その仕組みのすべてに働きかけることだと言えるのかもしれません。
楽器を鳴らす仕組みとは、楽器だけでなく、
楽器に働きかける奏者であるわたしたち自身も含めて、
仕組みが成り立っているのだと思います。
もっというと、楽器が鳴って、その音を何らかの形で受取るひともまた
楽器を鳴らす仕組みの一部でもあります。
演奏するときに、楽器の状態を気にするあまり、
音の質を楽器のせいにしすぎてはいないでしょうか?
「楽器の音が明るすぎる」と感じた夜に、
「もっと自分を磨こう」とおもったのでした。