本番で「ミスった!」ときに僕がやってみて助かったこと(1) 見るのをやめて、見えるものに気づく

練習でまず心のなかに確立しなければならないのは、自分に対しての視点なのである。
メニューイン著『ヴァイオリンを愛する友へ』(169ページ)

 2014年ふたつ目の本番は、トリオでの演奏でした。(2014年1月13日)

 バイオリン、ピアノ、パーカッションというトリオ。パーカッションは、ジャンベやカホンをはじめ、何種類を使っているのかわからないくらいの賑やかさでした。

 新年の集まりでお世話になっている皆さんへの感謝を込めての演奏をお届けしました。

 公開ではなかったので、演奏の様子を詳しくはお伝えできないのが残念ですが、スタンディングオベーションをいただいてしまいました。手を振ってくださる方も多数!!みんな日本人なのに!わたしもお辞儀では物足りなくなって、ブンブン手を振って応えてしまいました。

《不出来な演奏》ほど評判がいいのはなぜだろう?

 では、演奏の出来はどうだったかというと、ぜんぜん楽譜通りにできませんでした。変拍子を数え間違えちゃったし、弓を滑らせてしまって音がうまく出ない場面もありました。それでも演奏を終えた時には、なぜか大喝采が沸き起こったのです。

 メンバーどうしでも、帰宅したあとで「本当にありがとうございました」「また一緒に演奏しましょう」とメッセージを送りあっていました。自分としては手放しで喜べるような出来ではなかったはずなのに、不思議な満足感のある演奏でした。

 どうしてこういう演奏ができたのでしょうか?


「見る」を変える

演奏の質を変える「自分への問いかけ」とは?

 みなさんは、演奏中、とくに、大切な本番で「あっ、出したい音と違った!」というときにどうしていますか?あるいは、「おおお、いますごくいい感じ!」というときに、どんなことに気をつけていますか?

 僕が気をつけていること、今日はいくつもありました。

 一番効いたのは「いま、どんなことが見えている?」と自分に言い聞かせることでした。

 どんなことが見えているか、そう問いかけた途端に、共演者が出している音・反響音、息づかい、体の動きが鮮やかに見えてきました。そうしたら、自然と「ああ、次はこんな音を出してみたい!」と思えたんです。

 音程をとりそこなったときにも、冷静に、すぐ音程を修正できたし、弓が足りないと気づいたら動かし方を変えることもできました。

 こうしたことは、できる人から見たら稚拙なことかもしれません。ですが、自分の演奏の一瞬一瞬の観察を続けながら3曲を演奏できたのは、わたしにとっては大きな出来事です!!

メニューインはこう言っている!

練習でまず心のなかに確立しなければならないのは、自分に対しての視点なのである。
ヴァイオリンを愛する友へ』(169ページ)

 ボクが気づいたことがあります。「演奏が不出来だったのに不思議な喝采が起きた」のではなくて、演奏しながら演奏のあらゆる瞬間を観察し続けられたからこそ不思議なほどの喝采が沸き起こったのではないだろうか、と……。批判のために観察するのではありません。自分の望む演奏をするために必要な情報をなるべく多く受け取り、それらをすべて生かし切っていくためのはじめの一歩が《観察》すなわちメニューインが言うところの《自分に対しての視線》なのでしょうね。

 ところで、メンバーは、みんな経験豊かなプロ!バーで夜通し演奏をしていたり、超有名グループののバックやミュージカルの演奏メンバーだそうです。

 「いちろーたさんのバイオリン、音がきれいで、ノビがありますね」「姿勢のことを勉強されているだけありますね。ひと味違いますよ」とコメントいただきました。

 次は「僕がやってみて助かったこと(2) お客様を味方につける」を書く予定です。お楽しみに!


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