【壁バヨのススメ】手や首・肩・背中を痛みから開放するために〜自分の処方箋を自分で書けるようになる方法〜【音も良くなる】

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 《壁バヨ》って知ってますか?バイオリン練習方法の1つです。バイオリン演奏で左手のテクニックに関する問題や、痛み・疲れやすさ・ダルさを解決する有効な方法なので紹介します。ついでに音も良くなっちゃうかもしれません。胡散臭いですか?

 《壁バヨ》ってちょっと変な言葉ですが「壁バヨ=壁バイオリン」という意味です。バヨ=ばよりん=ばいおりん……です。

 それはさておき、この《壁バヨ》を5分間でもいいので丁寧に取り組んでみると、それまで自分で気づくことのなかったような問題が自分で見つけられるようになっていきます。

 ちょっとした変化ではありますが、丁寧な《壁バヨ》の実践をすることで、自分の練習メニューは全部自分で組み立てられるようになりますよ。

 というわけで、今回は《壁バヨ》のやり方を紹介していきます。

【注意】始める前に

 やり方を間違えると壁を傷つけたり、楽器を損傷したり、怪我や事故のもととなりますので、よくよく気をつけて安全第一でお試しくださいね。この記事を読んで試したからといって事故などの責任は負いかねます。

 さて。

【壁バヨ】やり方・1 壁に渦巻きを押し当てる

 やり方は、わりと簡単。壁とバイオリンを用意しましょう。壁が硬い場合はハンカチやタオルなどクッションになるようなものを用意しておくといいと思います。壁紙が貼ってあるような壁がよいかと思います。

 まず……バイオリンを普通に構えます。それから、壁に向かってバイオリンの渦巻きを近づけてゆきます。バイオリンの渦巻きが壁に触れられるように奏者が動いてください。

 渦巻きが壁に触れたら……普通に構えるのと大きな違いはないんですが、左手でバイオリンの重さを支える代わりに、壁にバイオリンの重さを引き受けてもらいます。バイオリンの渦巻き(スクロール)の先端を触れさせることで……ごく軽く押し当てる感じ……にしつつ、《G線が床と平行、かつ、壁と垂直》となるくらいにバイオリンの向きを調整します。だいたいでオッケーです。

【壁バヨ】やりかた・2 壁バイオリンを作る

 先ほどの状態から……改めてバイオリンの向き・高さを調整していきます。壁に押し当てて構えていましたが、バイオリンの位置はそのままで、奏者はバイオリンを構えるのをやめちゃいます。壁からバイオリンが生えてるのを手で支えている感じになりましたか?

 要するに、構えていない状態で壁にバイオリンを押し当てていればオッケーです。押し当てるんですが、最小限の力で押し当てられるように、壁への押し当て方や、バイオリンの触りかたのバランスをいろいろ変えて試してみましょう。バイオリンがその位置にあるために必要な力加減を把握するのが目的です。

 バイオリンを保持するのは僅かな力ですが、力をまったく使わないわけではないです。おわかりいただけましたか?わかるまでここまでのステップを繰り返し実験しましょう。5分やってもピンと来なかったら休憩してくださいね。

【壁バヨ】やりかた・3 壁バイオリンを構えてみる

 さぁ、いよいよ壁バイオリンを構えます。壁から垂直に生えている(かのようにあなたが両手で支えている)バイオリンに合うように、自分の立ち位置を動かしていきます。壁バイオリンと自分の関係が、普段のバイオリンを弾く時と同じようになるよう(といっても全然違っているとは思いますが)自分の立ち位置を変えます。

 この時、変えてもいいのは《自分の立ち位置》つまり、壁との距離、壁と自分との角度だけです。もう一つ変えてもいいのは、壁バイオリンの床からの高さです。念の為に書いておくと、壁バイオリンの条件は《壁とG線が垂直》です。表板が天井側、裏板が床側に向くようにしてくださいね。

 ここまでで、壁バイオリンを構えられたはずなんですが、構えられましたか?

壁バヨで遊ぼう

 《壁バヨ》で演奏や練習をしてみましょう。難しいことでもいいですが初めてならシンプルな演奏動作のものが良いでしょう。例えば開放弦をひくとか、ポジション移動を伴わない左手指の動きです。

 ひと通り、シンプルな基本動作を済ませて、なにか気づくことはありましたか?僕が気づいたのは、バイオリンの弦の振動が左手からも右手からも伝わってくることに気づきました。そして、首からも。

 シンプルな動作の次は少し複雑にしていきましょう。移弦させたり、弓を扱う右手のあらゆるテクニックを知っている限り試しましょう。左手もポジション移動をしてみたり、重音やフラジオレット・ピチカートも試してみましょう。どんな事に気づきますか?

 僕の場合は、自分のテクニックが演奏に与えている悪影響を見つけることができました。左手指のフィンガリングで力を使いすぎていたり、力が足りていなかったり……。左手指を動かしたいだけなのにバイオリンの位置に影響するような腕全体の使い方をしていたり、弓の動かし方や弓と右手の関係性(弓への指の触れ方や腕全体の力の流し方)などです。

【壁バヨ】本当の効能

 ここまで書いてきたことで、もうおわかりかも知れませんが、じつは【やりかた1】から【やりかた・3】までをできれば、あとは全部応用です。

 この《壁バヨ》を作るまでの過程を注意深くやってみると、実にいろいろなことに気づくことができます。バイオリンを演奏するときにバイオリンを振り回す必要はなかったりします。握りしめる必要もなかったりします。

 バイオリンを弾いていて体が痛くなったときには、この《壁バヨ》を思い出してみてください。自分で処方箋がかけるようになりますよ。

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