【やってはいけない練習法】バイオリンを練習する前に知っておくべきこと

2019/10/09

いちろーたです。

うまくなりたいなら何を学ぶかが大事。
でも、もっと大事なのは、何をどの順序で学ぶか、です。

「どの練習法が正しいのだろうか」とたった1つの正解を求めている人は多いです。その結果試行錯誤し「練習法はひとそれぞれ。体格も違うんだし、これだけが正しいという方法なんて存在しない」というもっともらしい結論を導き出しているのが現状です。まあ、わたしもそうでしたけど。

違います。練習法には正解があります。
体格が人それぞれであっても、練習法は同じです。
構えの見た目が人それぞれに違うように見えても、その人にふさわしい構えを習得するための練習法自体は万人に共通の正解があります。

間違った方法で練習しても、非効率な状態のままなので演奏は上達しません。
かりに少しばかり上達したとしても、非効率であることが変わらないので演奏していてすぐ疲れたり、楽しみよりも疲労のほうが大きかったりして、練習嫌い・楽器嫌い・音楽嫌いになってしまうんです。

 

 

正しい練習法を知るために必要なこと。それは
「最初に、やってはいけない練習法を知る」
ということです。

1. まず正しい練習法をマスターする。
2. 練習する。

この2ステップで、演奏技術は最速に上達します。

たとえば、東京からウィーンへ行こうとした時に

1. どうやって行くのが一番安くて早いかを調べる
2. チケットを取って、ウィーンまで行く

というのが一番いい方法です。「安く早く行く」ならですけど、「ゆっくりでいいから、世界中の鉄道を乗り継いで行く」だとしても「調べる」ことは外せませんよね。

「何も考えずに、とりあえずウィーンの方角へ向かって歩き出す」という人はいません……いや、いるかもしれないけど、方法を検討するために調べものをしてから実際に移動のための行動を起こしますよねって話です。

練習法をマスターせずにいきなり練習を始めるのは、ウィーンへ行きたいからと言ったのに、ウィーンへ着かなくてもいいといって歩き始めるのと同じってことです。

上手くなりたいから練習するのであって、うまくならなくていいなら、バイオリンをもってただ音を出していればいいことでしょう?

(もちろん、それでもバイオリンは楽しくて気持ちよくて素敵な相棒でいてくれますけど)

 

かなり脱線しましたが……

正しい練習法を学ぶ前に「やってはいけない練習法」を学んでおくことが大事です。
これが知っておくべき最低限の順序です。

うまくなろうと思っているのなら!……ねっ!

 

正しい練習法を知ってから練習を始めることこそ、最速で演奏技術を高めて音楽の楽しみを満喫するための正しい健康的な手順です。

そして、楽器の練習法というのは、一般的に次の2つに分けてアプローチをすることが多いです。

1. 望みの音を楽器から取り出す練習
2. (楽譜を読むなどして)望みの音を思い浮かべる練習

ここにもう一つ加えてもらいたい練習があります。

《自分の望みに貢献する身体動作をする練習》

これは身体そのもののトレーニングでもありますし、身体を操作する自意識のトレーニングでもありますし、音楽するプロセス全体の総合トレーニングでもありますし、自分の望みと向き合うという意味では生き方のトレーニングでもあります。

正しい練習法を学ぶ前に学ぶべき「やってはいけない練習法」とは何か。

それは、自分のカラダやココロを置き去りにして楽器に取り組むこと。

バイオリン演奏において、楽器とカラダとココロを結ぶ鍵となるのは《触覚》と《固有感覚》です。

触覚というのは「いま身体のどこが何に触っているか」に気づくところから始まります。
固有感覚は「身体のこことあそこが、互いにどんな位置関係にあるか」と気づくことで目覚めます。

触覚を目覚めさせるためには、目を閉じてバイオリンにさわってもいいですが、目を見開いておいて自分がバイオリンにさわる様子を観察してみましょう。何も考えず見ていたときや、何も考えずに触っていた時とは比べ物にならないべらぼうな質と量の情報が自分のなかに押し寄せて大噴水のように全身全霊を刺激します。

その刺激を感じ取り《ながら》……開放弦をひき、音階を奏で、課題曲に立ち向かっていくんです。

ある音のためにひとつの弦をひくとき、右手のなかにある弓は弦の上を走り、左手指の先にある弦は目にもとまらぬ速さで振動し、その振動は楽器を震わせて部屋の空気にも伝わっていき、振動を生み出すきっかけを作ったあなた自身をあらゆる方向から刺激しています。

こうした刺激の存在に気づき続けること、刺激に対する自身の反応を選択し続けること……これが、第三の練習法《自分の望みに貢献する身体動作をする練習》です。

こうして文字にすると、気が遠くなるようなやり方に思えるかもしれません。でも、普段、演奏を楽しんでいる時のこと、練習で試行錯誤している時にやっていることをよくよく思い出してみてください。《自分の望みに貢献する身体動作をする練習》から離れては、楽器演奏が成立しないことがわかるはずです。

最初に第三の練習=《自分の望みに貢献する身体動作をする練習》をトレーニングしておいてから練習を始めましょう。

まずあなたがおこなうべきは、楽器を持って構える動作を《自分の望みに貢献する身体動作をする》ように練習することです。

なぜなら、それだけで構えの質が変わるからです。
構えの質が変われば、その構えが生み出す音は……すくなくとも最初の一音は……今までとは違う質のものになるのが道理です。

構える動作のあいだじゅう、ずっと、自分の動きや自分の周囲の出来事といった《刺激》に気づき続けることができたなら、演奏が始まってからも……演奏のあいだじゅう、ずっと自分の動きや、周囲の出来事という《刺激》に気づき続けたうえで、その次の刹那に響かせる音をつくるという自分の《反応》を、意図的に選択し続けられるようになります。

理屈としては理解できますよね。
あとは実践するだけです。

 

 

-練習への取り組みかた