【ポジション移動】「肘を中に入れましょう」をやめてわかったこと

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いちろーたです。

今回は「どうして身体の仕組みと言葉づかいが演奏に影響するの?」という話。

具体的には、バイオリンのハイポジションの教え方と肘の話です。

「肘を中に入れましょう」が役に立ったんだもん!の巻

バイオリンのポジション移動を教わった時に
一番心に残った教えは「ポジションを上がるときは、肘を中に入れましょう」でした。

言われたとおりにやってみると
「なるほど、たしかに肘を中に入れると、ハイポジションまで手が届くんだな」
と感激したものです。

その感動は色あせることがなく、後輩たちに教える時も誇らしく言っていました。
「ハイポジションへ移動するときは、肘を中に入れるんだ。そうすると第7第9ポジションだって無理なく届くんだ。先生直伝の教えだから間違いないよ!」
ってね。

「えっ?なんでキミたちはできないの?」の巻

でも、この教えかたではどうしてもできないという人もいたのです。
割合で言うと、100人のうち7〜8人くらいだったと思います。
もしかしたら、もっと多かったかもしれません。
あくまでもいちろーたが教えた中でのことですから、世間一般では違っているかもしれません。

ハイポジションに移動する時、どうして肘を中に入れろと言われるのか。

そんなの、わからなくてアタリマエです。

なにしろ、動かしたいのは手なんです。
なのに、肘に気をつけろだなんて。

「どうして肘に気をつけただけで、ポジション移動がうまくいったの?!」
……って、思うのは当然ですよね。

「そのほうが無理がないからです」
と言われるだけでは、納得なんてできません。

どうして肘を入れたら無理がなくなるのかを知りたいのですから。

(さあ、どうしてだと思いますか?)

「言葉と身体のことを知らなかったからだ!」の巻

徹底的に学んでいるいまだから言えることなのですが
ほかにも、引っかかりポイントはあります。

「肘を中に入れてくださいね」

といちろーたが言った時、言われた人がする動作って、ひとりずつ違うものなのです。

その違いというのは、ポジション移動がどの程度できるかという違いではなく
肘の曲げ具合や、肩の動き具合、胴体のねじれ具合、首のつぶれ具合、という
具体的なひとつひとつの関節の動き方の違いのことです。

当時はそんな目のつけどころがあること自体に気づいていませんでした。
同じ言葉への反応として、こんなにも動きに違いが見つかるものだとは知りませんでした。

思い出してみると、たしかに、ひとりとして同じ動きをしていないのです。

さて、ハイポジションがうまいことできるようになるには
「肘を中に入れましょう」と言うかわりに
何をしたらいいんでしょうか?

「ポジション移動って、そもそも何なの?」の巻

ポジション移動における肘の役割とは何か。
手を最適な位置に運ぶことです。
(当たり前すぎてビックリしたでしょうか?)

ポジション移動とは
欲しい音のために指先を運ぶことができれば
どうやってもいいんです。

どの教則本にも書いてませんよ、こんなこと。

カタチなんてどうでもいい。
指の曲がり具合も、手首の伸ばし具合も、腕の曲がり具合や、肩の持ち上がり具合も。
ほしい音が取れるなら、どうなってもいいんです。

でも、ヒトの身体が動ける範囲は決まっています。
動かしやすい範囲も決まっています。
(これ、超重要!)

それをどれだけ知っているか。
実際にどれだけ使っているか。

これが演奏の技術の、ほんとうの意味での基礎レベルを決めます。

「肘を中に入れましょう」……たったこれだけのことからでも、演奏のさまざまなことを学び取ることができます。

その結果、「肘を中に入れましょう」という教えをいちろーたは捨てました。
正確を期して言い直すなら、こう言えるでしょう。

「先生の教えなのだから、そのまま言い伝えれば誰にでも通じる」という怠慢を捨てたのです。

ほんとうの学びが始まったのはこの時からだったのだと思います。

長くなりましたね。
このくらいにしましょうか。

超訳・今回のまとめ

アドバイスは解釈するな。
迷ったら目的を問え。

(あれっ、本当にそういう話だったっけ?笑)

良い週末を!

[2019年3月2日メルマガにて配信したものを掲載]

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