【感動する演奏のつくりかた】ベートーヴェンの《月光》ソナタは14歳年下の女の子へのアツいプレゼントだった

2017/07/13

いちろーたです。

先日、小さなオーケストラでブラームスの交響曲を演奏しました。
弦楽器が5-5-5-5-3名という編成。

アマチュアオーケストラとしては
最小規模での演奏だったのではないかと思います。
なかなかおもしろい響きになりました。

楽団のYouTubeで公開されていますので
ご興味があればご覧になってみてください。
いちろーたはコンサート・マスターしています。

Brahms Symphony No4 ブラームス 交響曲第4番 - YouTube

ところで、

「運命と呼ばないで」ってご存じですか?

いちろーたは知らなかったのですけど
ベートーヴェンとその周りを取り巻く人間模様を面白おかしく
描いている4コママンガです。

出会ったのは本屋さん。

やっぱり偶然の出会いは
アマゾンよりもリアルな書店のほうがありますね!

で、この「運命と呼ばないで」なんですけど
いちいち面白いんです。

ベートーヴェンがコーヒーを淹れるときには
コーヒー豆を数えて1杯60粒ってこだわるとか
髭剃りが失敗して顔中傷だらけで訪問客を驚かせたりとか
あの有名な《月光ソナタ》は10代のお嬢様に献呈されていたとか
ひとつひとつは「それ知ってるよ」っていう有名な逸話もでてきます。

4コマまんがという凝縮されたステージに出てくるベートーヴェンは
強烈にキャラが立っています。

これを読んでいると
音楽室に飾られたしかめっ面の肖像画や
「楽聖」という呼び名に隠された
本当のベートーヴェンの顔が見えてくるような気がしてきます。

ここが大事なところです。
この「運命と呼ばないで」には
どうやって「運命と呼ばないで」が作られているかもかかれています。

文献にあたって
事実関係を明らかにしたうえで
「きっとこんな性格だったに違いない」
「この2人なら、この事件についてこんな会話のドタバタがあったに違いない」
と作りこんでいるのです。

このプロセスは
演奏を披露するときにも役立ちます。

たとえば曲紹介をするとき。

《月光ソナタ》を紹介するとしたらどう紹介したらいいでしょうか。

月光ソナタというのは31歳のベートーヴェンが17歳の女性・ジュリエッタに献呈しました。
この曲の1楽章は、通常のピアノソナタの1楽章とは異なるゆっくりしたものです。

これだけだと、事実には違いないのですが、ちょっとつまらないですよね。
次のように考えていって、あなた自身の考えを盛り込んでゆくと面白くなります。

『なぜ、こんなふうに作曲したのだろうか?』
『なぜ、この人に献呈したのか?』

調べればすぐに分かることですが
じつは献呈されたジュリエッタという女性は
ベートーヴェンにピアノを習いに来ていた貴族のお嬢様です。

ピアノを習いに来ているというのにジュリエッタは練習が嫌い。
ベートーヴェン先生のことが好きでレッスンには熱心に通ってくる。
だとすると、ベートーヴェンもまんざらではなかったでしょう。

(えっ?……それはボクがその立場ならそう思うからです)

でも、ベートーヴェンとジュリエッタの間には身分の壁があります。

身分の壁を超えて愛を伝えあうための献呈だったと
思うのは考えすぎでしょうか?(あまりにもベタな推測ですが)

ベートーヴェンは何を目当てに献呈したのでしょうね。

練習嫌いな彼女にひいてもらうのは現実的ではないように思います。
ベートーヴェン自ら弾いて聴かせるだけではないでしょう。

そうすると、彼女にレッスンするための教材として書き上げたと考えるのが良いのかな……
身分の差を超えて堂々と2人だけで過ごせたのでしょうから……

このように想像してみるだけでも、
しかめっ面のベートーヴェンというだけではない人物像を思い描けるようになります。

『なぜ、こんなふうに作曲したのだろうか?』
『なぜ、この人に献呈したのか?』
『いや、そもそもどうして《しかめっ面》ばかりが有名なのだろうか?』

演奏するときには
こうした、曲や作曲者にまつわるストーリーを調べたり
想像してみてくださいね。

演奏に深みが出ますよ。

それにしても4コマまんがにも描かれちゃうなんて
ベートーヴェンってほんとに愛されキャラですよね。

-今日の感動トリガー