「弓より重いものを持ってはいけない」ってマジですか?!
学生時代に、先輩から言われたことがあります。
先輩「コンマスは、重たい楽器運びしたらダメだよ。他の人にやってもらいなさい」
いちろーた「どうしてですか?」
先輩「当たり前です!そのあと、手の感覚がおかしくなってしまうでしょ?」
あなたは、どう思いますか?
10代のボクが思った2つの疑問
当時のボクは反論せず、「わかりました!」と返事して、運ぶのはこっそり手伝っていました。
ボクとしては、2つのことを疑問に思いました。
A. 重たいものを持ったら、バイオリン演奏は下手になるのか?!
B. Aの「下手になる」が本当だとしたら、自分さえ良ければ他の人が下手になってもイイのか?!
ボクとしては重たいものを持った後でも
下手になるのかならないのか。
できることなら
「重たいものを持ったとしても、バイオリンは下手にならない」
という奏法をなんとか確立しようと思ってきました。
自在なコントロールをするために……
というわけで、今回はいくつか実際に役立っているアイデアをご紹介します。
1.「予測」ではなく「観察」を使う
2.「力加減」ではなく「力の向き」を意識する
もう少し説明します。
1.「予測」ではなく「観察」を使う
物を持つときに、「これくらい重いはずだ」ではなく
「どのくらいの重さがあるだろうか?」を持ち上げるまでの過程で情報収集しまくります。
見た目、手ざわり、持ち上げようとした時の手応えなどなど。
これを、いつもの自分の楽器に対してもやってみると面白いですよ。
2. 「力加減」ではなく「力の向き」を意識してみる
物を持つときに、力がどの向きに伝われば、
望んだ方向に動いてくれるのかを考えます。
これも、楽器を扱う時にも思い出してみると面白いですよ。
究極奥義?!……「コントロールをあきらめる」
もうひとつ、バカバカしいアイデアをご紹介しておきます。
「腕立て伏せをしてから練習を始める」です。
腕立て伏せじゃなくてもイイのですが、
とにかく腕がプルプルしちゃうような負荷をかけて
その直後に練習をしてみる。
この狙いは「自分でボウイングをコントロールしなきゃ!という執着心を放棄する」というところにあります。
自分でコントロールするのをやめた時、
ボウイングの細かなコントロールは、何がやってくれるでしょうね?
ぜひ考えてみてください。
覚えておいてほしいこと《感覚評価はcapricious》なのだ
物を手で持っている時、「持っている感じ」は信じるに足るものです。ただ、それが「どれくらい重いか」や「どちらがどれだけ重いか」ということは、どれほど信頼できるでしょうか?
《感覚評価》は超便利!10グラムと15グラムのレタスをピッタリ取り分ける
学生時代のアルバイトの時に、ちょっとした食品製造をしていました。
そのときに、メニューによって製品1個あたりに使うレタスの量が違うのですよ。10グラムだったり、15グラムだったり。
あるいは、フライドポテトを小分けする量も、大中小で違うわけです。
なれた頃には、ハカリを使わずにピッタリ決まった量を提供できていました。
けっこうな速さで。
鍛えた《感覚》のなせるワザです。
《感覚評価》を使いこなすには〜感覚の磨き方
では、どうやって適切な分量を取り分けられるようになったか。
ココが大事です。
手で感じる「重さ」だけではなかったのですよ。
目で見る、耳で効くとか。
使う感覚を増やすのも有効です。
《感覚》を使う時に大事なのは、《感覚をキャリブレーションする》ということなのです。キャリブレーションとは計器の目盛りを正しく調整することをいいます。ハカリで言えば10グラムのレタスを「10グラム」と示せるように調整することです。
《感覚評価》は相対的。ブレない基準を持とう
重いとか軽いといった、手応えというのはその時々で、私たちに違った印象を残します。
レタスやポテトは、定期的にハカリを使って、自分の「目分量」「手応えのハカリ」に狂いがないか調整していました。
《感覚評価はcapricious》
capriciousとは「気まぐれ」「予知できない」と、ほとんどの辞書にあります。
なぜなら、感覚とは刺激に対して起こるものであり、あらかじめ知ることは絶対にできないものだからです。
そういう特性があるものだと理解したうえで使っていく。
これが、感覚を磨き、感覚評価を使いこなす賢いやり方ではないでしょうか。
ではまた!