好きな曲なのに苦手な箇所で弾けなくなる!(Oさんレッスン2回目 2013/07/17 自宅)〜音楽家の尊厳をまず自分に与えよう

2017/09/18

 昨日、学習会のあとレッスンに通ってくださっているOさんのレッスンでした。

 Oさんはアマチュア・ヴァイオリニストとして長年練習を積み重ねてこられています。こまかな願いはさまざまに持っておられましたが、集約すると今回のレッスンでやりたいことはこの2つでした。

「前回の復習をしたい」
「普段さらっている様子を見て欲しい」

 この2つを念頭に置きながら、さぁレッスン開始!

大事なのはたったひとつ!

 1時間を超え、あっという間の盛り沢山なレッスンでしたが、終始一貫して私から繰り返しお伝えしたのはただ1つ「やりたいことのために、自分が自分を使うんですよ」ということでした。

自分が何をしているか、本当に知っていますか?

 たとえば、楽器を構えようとするときに、何をしていますか?

 ヴァイオリンを肩の上(というか鎖骨のうえ)に運んでくるとき、首から上、アタマから楽器の方へ向かっていってしまうことがあるんです。楽器を鎖骨にのせるだけなら、首や背中は休んでいていいんです。だけども、動かしてしまっていて、しかも、その自覚はなかったりします。

その【不要な動作の結果】は楽器演奏に役立つ?それとも……?

 ヴァイオリンを鎖骨の上に運んでくるときに、アタマと首と背中の真ん中あたりから楽器を迎えに行ってしまうと、楽器を動かすための腕を拘束するはめになります。

 首は押しつぶされてコリ始まるし、あごと鎖骨で楽器を挟みつけてヴァイオリンの響きを止めるし、上半身を傾けてしまうから楽器の渦巻きが下に落ちていってしまうから、ボウイングもやりづらくなって、いいことがひとっつもありません。

弦楽器奏者なら知っておきたいブレスのこと「ブレスはボウイングを邪魔する?!」 | 弦楽器奏者に役立つ・カラダのやさしい使い方
バッサリ結論だけ先に書きます。ノドを固めると、ボウイングも固まっちゃいます。それだけです。詳しく説明していきましょう。 ...
たとえば、首・ノドを締め付けると腕も固まる……知ってました?

 すくなくともOさんの構えようとする動きには、そのようなことが見えたんです。で、そうした動きを無理やり止めてみたり、《楽器を構える》ことを他人のなすがママにしてみたり、あるいは、自分の演奏中に他人が楽器の向きや位置を変えていくのについていって演奏してみたり……というエクササイズを通して、構えることの可能性の豊かさを知ってもらいました。

 楽器を構えるという動きの中に、めちゃくちゃいっぱいの可能性があって、その中から、やりたい音楽のために、必要な音を楽器から取り出すために、自分と楽器の関係を選びとってつかうということを学ぶことができました。

「苦手な箇所もあるけど、その曲、好きですよね?」

 今度のオーケストラの本番で取り組んでいる曲に、苦手な箇所があるとOさんは話してくれました。熱心に取り組んで、楽譜をいつでも読めるように持ち歩いていたり、工夫している様子がこれまでの話からも伺えます。

 そんなに熱心ならキライなはずはない。そう思ってOさんに向かって、私はこういいました。

「《苦手な箇所》があったとしても、これがなかったらつまんないですよね?てことは、その苦手な箇所こそが、その曲の一番の聴かせどころなんじゃないでしょうか?」

ちょっとしたことにこだわってみる!

「譜面台、低くないですか?」

 レッスンの一番初め、演奏しようかどうしようかと迷って見えたときに私がOさんに向けてかけた言葉です。これを受けてOさんは、譜面台の高さを変えました。

「自分は世界一のプレーヤーだ。そう思ってください」
「世界一のプレーヤーが演奏するんだから、妥協は許さない!と決めてください」
「変えられる環境は、許される範囲で全部変えちゃってください。たとえば、譜面台の高さなんか変えちゃっていいんです」

 Oさんは、あっけに取られながらも、自分のありかた・自分が自分をどう扱っていたかを、変え始めました。私は続けました。

「Oさんが、世界一のプレーヤーであるのと同じように、オーケストラで共演する隣りに座る人も、また、世界一のプレーヤーなんです」
「だから、想像してみましょう。もしも、世界一のプレーヤーが、世界一のプレーヤーを尊敬していたら、どんな風に振舞うでしょうか?」
「たとえば、1つの譜面台をシェアしている。相手にも使ってもらいたいし、自分も使いやすいように、最大限の努力をしますよね?」

 Oさんは、なにかを深く感じたようでした。それまでに見たことのない表情でした。

あっというまのレッスン。でも盛りだくさん!

 この他にも、右手のワンボウ・スタッカートや、左手の親指がロックするのをどうしたら良いですか?ということに対して、自分で練習するためのヒントをいくつも差し上げました。今朝、早速ご自身で試していい感触がつかめて、いい方向に向かっているという報告をいただきました!Oさん、次回が楽しみです!

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