練習したくない。その気持ちが本物なら練習するな!
そんなときもある。練習なんか、無理にやるものじゃない。
練習は、本気でやりたいことがあって、はじめて効き目がある。
練習の日の直前や本番ぎりぎりになって「そういえば、どんな曲をやるんだっけ?せっかくやるんだから、もっと知っておこう」「そういえば他のパートはどんなことやっていたっけ?」と思うこともあるし、もっと単純に「明日練習だから、楽譜を見ておこう」と思うから練習することもある。
何も思わないときは、本当に楽器ケースを開けない時もある。でも、それはボクが「本当にやりたくなるまでは、楽器を触らない」と決めているから。
やる気スイッチを無理やり押す方法!
やる気スイッチをONにする、ただひとつの方法は「とにかくやり始めること!」ウソみたいだけど本当のこと。
楽器の練習をしたくないけど、でも、しなきゃいけないと思っているなら、まずケースを取り出す。そして、楽器ケースを開ける。楽器をさわって、そして拭いてやったってイイ。自分の本音をバイオリンに語りかけてもイイ……「今日は、本当は練習しなきゃいけないんだけど、練習したくないんだよ」とか。
どうしても練習したくならなかったら、そのままバイオリンにインタビューしてみたらいい。「きみはどこからやってきたんだい?」
ラベルを読んでみてもイイ。f字孔の形やパフリングの細工をじいっと見て「下手くそだな」とか「どうやったらこんなものが作れるんだろう?」「どんな道具をどう使ったらこんなものができあがるんだろう?」なんてことを想像するだけでも、ぼくなんかはワクワクしてくる。
最初にこのバイオリンを組み上げたときに、この楽器から音を出したのは誰だったんだろう?どんな人が回りにいたんだろう?どんなひとがこの楽器を使って来たんだろう?……ぼくがはじめてストラディバリウスをひかせてもらった時には、楽器から漂ってくるニスの匂いをかぎながら、そういういろんなことを想像するだけで胸がいっぱいになってしまって、楽器を弾き始めるまでに何分もかかってしまったんだ。
もしも自分で買ったのではない楽器を使っているのだとしても、想像してみてほしい。あなたの楽器は、どうやってあなたのところへやって来たんだろう?誰が作ったのか。誰が運んだのか。誰が売って、誰が買ったのか。どんな人がその楽器に関わってきたのか。
楽器は、いま、そこにある。あなたが「ひきたい!」と思えば、いつだって応えてくれる。だから、ひきたいと思えるまでは、ひかないでおこう。ひきたいとおもえたら、それを我慢する理由なんていらないんだ。