演奏中の目の使い方を変えると、演奏の質が変わります。
どう変わるか。
私の体験から言うと……
目の使い方を変えると演奏はこう変わります
- 「音楽表現がいきいきしているね」といわれる
- 共演者から「あなたとは合わせやすい」といわれる
- 細かなトラブルがあっても音楽の流れに乗っていける
- ……などなど
私の体験では、自分の《目の使い方》を変えただけで、オーケストラ全体が変わります。
特に、中心となるコンサートマスターや首席奏者として演奏に参加しているならなおさらです。
これまでに書いてきたブログのなかで、「観察」の重要性を何回も書いてきました。「観察」によって、自身の演奏の質が変わるということを書いてきました。
今回は、観察のなかでも、《目の使い方》について、ちょっとだけ考えていきます。
実験《目の使いかた》あれこれ
みなさんは、ものを見るときに、普段どうやって目を使っているでしょうか?早速、目の使い方をいくつか実験してみましょう。
その1 普通に見る
部屋のなかにあるものから、なにかひとつ「これを見る」と決めて、そこに視線を向けて、見てみましょう。
見えましたか?では、次の実験です。
その2 視野全体をぼんやり見る
さっき選んだものを見るんですが、こんどは、見かたを変えます。どう変えるかというと「見たいもの」だけでなく、そのまわり全体をぼんやり見てください。光を読み取りに行くのではなくて、「見たいもの」に反射した光が向こうからやってくるのを目で受け止めて、脳に届いたものをあなたは読み取っている……そういう見かたです。
たとえば、いまこのブログの文章を読んでいるとしたら、この文字が見えますね。その文字の上下左右にも文字が並んでいるのが見えますよね。さらに、そのまわりにも、画面に何かが表示されているのは見えていて、画面の外には今いる空間の景色が広がっているのが見えてきます。あなた自身の手も見えてきます。もしかしたら、天井や床も見えるかもしれません。あなたの足も見えるかもしれませんね。同じ空間にいる他の誰かの手や足が動いているのも見えるかもしれません。
という具合に、ぼんやりと全体が見えるような注意の向け方で、見たいものを含めて自分の視野全体を見えるようにバランスをとり続けてみてください。
しばらく試してみてくださいね。
その3 見たいものの1ミリ奥を見る
では、もう一つ。
見たいものの表面を見るのではなく、わずかに「1ミリ奥を見る」です。
これも、しばらく試してみてくださいね。
さて、もう一つ。
《立体視》で楽器練習してみる
立体視そのものが目的ではなくて、見え方を変えることで演奏も変わることが目的なので、すぐにできなくても大丈夫です。ふと思い出したら挑戦してみてくださいね。
はじめに:立体視の練習
立体視をやったことがない人のために、立体視の練習方法を紹介しておきます。詳しくは以下のリンク先に譲ります。
SPG:立体視の練習
ステレオ写真
裸眼立体視トレーニングルーム
立体視で楽器練習:準備
同じ楽譜を2枚用意します。できれば複写。あるいは、同じ楽譜を2冊。
用意した楽譜で、先ほどの立体視をやってみましょう。
立体に見えないですよね。そのかわり、うまくいくと、2枚の楽譜のほんのちょっとした印刷かすれ具合の違いや、書き込みの違いが目に飛び込んでくるようになります。
立体視で楽器練習:やってみよう
では、今回のハイライト!
先ほどの立体視をしつつ、楽器を構えて、楽譜を演奏します。
どんなことに気づくでしょうか。立体視が乱れるときがありますよね。立体視が乱れる時には、あなたの演奏のクセが出やすい瞬間です。
楽譜の段が変わるとき、ポジションを変えるとき、指番号に自信がなくて迷ったとき、音程に自信がない箇所にさしかかったとき、演奏をミスしたと思ったとき……などなど、思いがけないときに見え方が揺らぐことに気づくことでしょう。
立体視を保ったまま演奏してみる。こうしたことから演奏を変えてゆくこともできるのだということを、ぜひおぼえておいてくださいね。