【自宅練習のアイデア】音の途中だけをひいてみる!?〜音の表情を磨くために(アーティキュレーションとフレージング)

今回のフォーカス「途中から始める」

 今回のテーマは「音の表情づくり」です。アーティキュレーションとフレージングと言い換えても構いません。音の表情作り、特にボウイングにまつわる練習のアイデアについて、オリジナルのアイデアをご紹介します。


a1180_004711

音の表情……フレージングとアーティキュレーションとは?

 まず、混同しがちなふたつの言葉について、定義を確認しておきます。

「アーティキュレーション」は、フレージングが複数の音の表情をあらわすのに対して、一音の表情をあらわします。
「フレージング」と「アーティキュレーション」

アーティキュレーションのためのエクササイズ「音の途中だけを演奏する」

 はじめに、アーティキュレーション(1音の表情づくり)について「音の途中だけ演奏する」をやってみましょう。

 まずは、本来演奏するフレーズの始まりのちょっと後、しかも音符の《音価の途中》から演奏を始めると思ってスタートしてみましょう。

 次にやってみて欲しいのは、本来演奏するフレーズの終わるちょっと前の音符を演奏します。ただし、《音価の始まりのちょっと後ろ》からスタートして《音価の終わりのちょっと前》で演奏を終えてみてください。

 いかがでしょうか?奇妙な練習方法に感じるかと思います。ですが、これによって、どんなことがわかるでしょうか?《本来の音価の開始地点》と、いま演奏した《途中の開始地点》での音の間にどんな連続性を思い描いていましたか?《途中の終了地点》から《本来の音価の終了地点》に向かうまでの連続性はどうだったでしょうか。

フレージングのためのエクササイズ「途中だけ演奏する」

 これも、フレージングの始まりから演奏を始めるのではなく、途中から演奏を始めるというものです。そして、終わりだと思っているところの一歩手前で演奏を止めます。

 この、「途中だけひいてみようエクササイズ」は、細かすぎるように思えるかもしれません。時間がかかって遠回りにみえますから、普段取り組んでいる人は少ないかもしれません。ですが、じょうずな人はみなさんこうした取り組みを通して、自分の思いと楽器の反応の関連性を確かめているのを、しばしば目にします。ヴィオラ奏者・岡田伸夫さんと楽屋でご一緒したときに、練習の様子を拝見していてこうしたことの重要性を改めて知ったものです。

応用練習!「演奏動作の途中」から動き始める

 ここまでやってきた「途中だけ演奏する」を、さらに応用していきましょう。

「楽器を構える」を途中からやってみる

 楽器を構えるときに、「《構えようとする動き》の一時停止状態から、構える動きを再開する」と思ってやってみましょう。

 普段やっている、楽器を構えるのと、演奏のはじめやすさはどう違いますか?

「譜面台に向かって歩く」を途中からやってみる

 いまいる場所から、譜面台のある場所へむかって歩いて行くとして、歩いている途中のポーズから、歩くのを再開するつもりで譜面台まで歩いてみましょう。

 普段の歩き方とくらべて、どちらのほうが演奏しようという気持ちが高まりやすかったでしょうか?

 演奏指導の現場では、音づくりにおいて気をつけるべきこととして「始まり・終わり」を特に重要視してトレーニングします。ですから、始まりも終わりも、だいたい皆さん気をつけていらっしゃいます。そのかわりに、中だるみがおきがちなので、こうしたエクササイズが有効な場合もあります。

 私自身としては、それぞれに違いを感じたのですが、また新しいアイデアを見つけたらご紹介します。お楽しみに!

-エクササイズ・体操・ヨガ