序・2《ヴァイオリニストのための動きの解剖学》動きの基本システム3つを学ぼう

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序文《ヴァイオリニストのための動きの解剖学》とは?で書いたように、解剖学というのは「身体の仕組みを説明するための、約束事の集まり」です。

解剖学にお付き合いいただくために、いくつかの基本的なお約束を確認しておきたいと思います。

今回は、簡単に3つだけご紹介します。

人間の体において、動きをつくるときに必要なものが3つあります。

  1. 関節
  2. 筋肉

 動きをつくりだすのは、主にこの3つです。動きのことを考えるときには、直接動きに関わっている3つ「骨」「関節」「筋肉」について考えることが役立ちます。そして、この3つがうまく働くための仕組みもたくさんあります。たとえば、栄養を取り込む消化器官や、栄養を動きのエネルギーとして全身に行き渡らせる血管などの循環器官もあります。動きのことだけでうまく解決しないときには、身体の一部分だけをみるのではなく、身体全体のことや、身体だけでなく心も含めた自分全部、そして、自分とまわりを含めた環境全部にも考えを広げていくとよいでしょう。

3つのシステム

 骨(ほね)って、なんのためにあるかわかりますか?いくつかの大事な働きがあります。

 

  1. 体を支える
  2. 血を作る
  3. 内臓を守る
  4. 筋肉との組み合わせで動く

……などです。演奏している時に、こういうことって気にしていましたか?

 私たちが骨のことを気にしていなくても、骨は私たちの演奏を、いろんな働きで支えてくれているんですね。骨のことを知っておくと、演奏にどんな違いがうまれていくのでしょうか。気にしてみてくださいね。

こっ‐かく【骨格/骨×骼】
1 動物の体をささえ、内臓を保護している固い構造物。甲殻類などの外骨格と脊椎動物の内骨格とがある。ヒトは、200個余りの骨から成り立ち、関節結合・縫合・軟骨結合などによって構成される。「たくましい―」
2 物事をかたちづくる中心のところ。骨組み。「建物の―」「都市計画の―ができあがる」
こっかく【骨格/骨骼】の意味 – 国語辞書 – goo辞書

関節

 関節というのは「結びつき」といえます。もうちょっと細かく言うと、骨と骨とのつなぎ目にあたる部分のことです。動いて曲がることができるような身体の仕組みのことを関節と呼んでいます。

 バイオリンを演奏するときには、どこがどう動くとどんな奏法ができるのかを観察してみると、うまく弾けなかった原因が分かる場合があります。その観察をできるようにするには、どこにどんな関節があって、どう動かせるのかを知っておくと役立ちます。ボディマッピングとよばれる分野の知識の使いかたと特に深い関わりがあります。

かん‐せつ〔クワン‐〕【関節】

骨と骨とを連接させる可動性の結合部。周囲を結合組織の膜が包み、内側には滑液が入っていて潤滑油の役をする。

かんせつ【関節】の意味 – 国語辞書 – goo辞書

筋肉

 筋肉(きんにく)といっても、大事なのは筋肉そのものよりも、筋肉の機能によってうまれる動きのほうです。

 筋肉の機能は、ちぢむことです。どうやってちぢむかというと、神経から伝わってきた命令信号によってちぢみます。「ちぢむ」という信号が止まれば、筋肉はちぢむのをやめることができます。これが、じつはすごく大事なことです。

 ちなみに、「ちぢむ」ことをやっている間は、筋肉は疲れていきます。「ちぢむ」ことをやめている間、筋肉は疲れから回復して元気になっていきます。これも大事なことです。演奏していて、ものすごく疲れてしまう人は、筋肉を一瞬も休めること無く「ちぢむ」ことをやらせているから、疲れきってしまうのです。

 筋肉が「ちぢむ」ことを「収縮(しゅうしゅく)」といいます。

 ちょっと長くなってしまいました。今回書いた3つのシステムについての基礎知識は、ほんとうに大事なことです。「なんか疲れちゃうなぁ」「なんで演奏が思い通りにならないんだろう?」というときの、原因調査をするときに思い出すだけでもスッキリと問題解決してしまうことがあるくらいに、大事なことです。ぜひブックマークしておいてくださいね。

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