バイオリン:「左手の1と2の指が半音のときに届かない」(弦楽器奏者のためのフィンガリング・基礎トレーニング「左手指の開きかた」)

2015/03/15

一番困っているのは
1と2の指が半音のときの形がわからないんです。

はじめに教わるこの形で、
うまく動かないんです

 ベテラン・ヴァイオリニストNさんのお悩みでした。1の指とは人差し指、2の指は中指のことです。Nさんは、私に向かってそう言いながら実演してくれました。

 なるほど。いくつかお助けができそうです。

形ではなく「動き」を理解しよう

 形・型・フォームの役目は、動くときの目印にするためです。これは大事なことです。「そこから動いちゃいけません」という意味ではなく、「この場所から、あの場所へ動こう!」と思うための目印に過ぎません。

バイオリン演奏・左手指の動き3原則

 バイオリン演奏をするとき、勘違いしやすいポイントが3つあります。

  1. 指は力を出さない(動きを伝えるだけ)
  2. 指は触れたいものにふれることができる(動きを伝えるだけ)
  3. そのために指は体全部の動きを借りることができる(動きを伝えるだけ)

 指は力を出すというよりは、ほかからの動きを伝えることが得意なように出来ています。体幹部で作ったパワーを、狙い通りの方向へ、的確なスピードになるように最終調整をするのが役割だからです。料理の包丁使い、あらゆる武芸、スポーツに通じます。

フィンガリングの基本3ステップ「狙う」「触る」「離す」

 指の得意な動きは「狙った場所を触る」「力を伝える」です。これを活かして、フィンガリングのための動きを書き表すなら、次のようになるでしょうか。/p>

狙う
触る
離す

 この中で、実際に指を動かすのは、「触る」「離す」だけです。多くの人は、狙いの精度が甘いまま弦をさわるので、音程が外れたり、発音がブレたり・裏返ったりします。

弦を押さえるあいだ動いてもいい

 弦を押さえる・弦に触れる……これらの言葉によって多くの弦楽プレーヤーが引き起こす動作は「押さえつける」ということをしています。振動する弦から弾き飛ばされないように、必要以上の力で、弦を押さえつけて振動を邪魔しているのです。

 弦への触りかたを変えてみましょう。弦に触れたら指の動きを止める。触っている間、弦からの反発力を感じ取ることはできるでしょうか?弦に触った指を、弦から離したり再び触れたりする間に、弦の弾力を感じることができますか?

 これを演奏しながらやってみましょう。初めは簡単な形で。弦の振動具合に応じてチカラ加減を変えてみましょう。わずかな指の動きを許しましょう。音にどんな変化が生まれますか?

これらはレッスンの一例です

 実際には、生徒さんのお話を伺い、演奏を拝見したうえでアドバイスを差し上げています。もっと違ったことを知りたい場合は、おためしレッスンを予約してみてくださいね。

-レッスン復習ノート