楽器を構える前にカラダの痛みはやめられる。3つのチェックポイント(弦楽器奏者のためのセルフケア講座・02)

2016/05/22

ヴァイオリンをひくいちろーた

 楽器を構える行為が、痛みを生んでいる場合があります。今回は、楽器を構える前に気をつけると良いことを考えてみます。

楽器を構える前に。カラダの痛みをやめるための3つのチェック

1: 楽器の大きさ
2: 楽器の居場所
3: 自分に楽器を迎える

 この3つです。もうちょっと説明してみましょう。

 バイオリン応援団☆いちろーたです。ラクに演奏して、音楽の楽しみを一人でも多くの人に、心の底から「ああ、生きててよかった!」と思い出してもらいたいと願っています。

チェック・その1 楽器の大きさを見つける

 まずは、楽器の大きさを見つけましょう。いまの自分から見て、楽器はどれくらいの大きさがあるでしょうか。

どんな形をしていますか?
どんな凹凸がありますか?
色は?模様は?

 目を通して入ってくる光の刺激をただ受け取ってみることもやってみましょう。以前見たことのある楽器とは違う表情に気付くことはできるでしょうか。

 脳はそれまでの経験と矛盾しないように、観測した現象に意味を与えてゆきます。その意味付けを、いったんやめてしまいましょう。バイオリンがみえたときには、たとえば「木でできたモコモコした何かがそこにあるのが見える」と思ってみるんです。普段なら「あ、オレのバイオリン」と思ってしまうところを、違った受取り方をしてみる。そういう実験的あそびです。

 あるいは「何センチの長さだろうか?」とか、「同じ大きさのものは、今見える景色の中にどんなモノがあるだろうか」など見つけてみるのも、よいトレーニングになります。

 演奏に必要なチカラと、楽器をトラックに運び込むときのチカラは違っていいんです。

チェック・その2 楽器の居場所を見つける

 楽器をどこに置きたいかを想像しましょう。どんなふうに置いたら、気持ちよく過ごせるでしょうか。演奏しているあいだ、どこに楽器があれば気持よく過ごせるでしょうか?

 楽器をカラダに乗せるなら、どこがふさわしい場所でしょうか。床に置くのなら、自分との距離をどのくらい離しましょうか?

 昨日の自分と、今日の自分は違います。着ている服や、気分・感情も。ココにあったらいいなという場所は、同じでもいいし違ってもいいんです。

チェック・その3 楽器を自分へと迎え入れる

 楽器の大きさもわかりました。楽器をどこに置きたいかも決めました。これで、楽器と自分が出会う準備ができました。

 では、いよいよ、楽器を自分へとお迎えしましょう。楽器が、自分の決めた場所へと動けるように、動かしていきます。

 ゴール地点へと楽器を運びます。「楽器はココに来て欲しい。ここにおいてあると嬉しい」という、自分の決めた場所がゴール地点です。ぴったり、思い描いた場所へ収まるように、丁寧に、その輪郭の動きをゴール地点へと運んでいきます。

 思い描いた場所へ楽器を動かせましたか?思っていたとおりの動かし方で、思い描いたとおりのルートを通って……100点満点中何点を付けられますか?

 何点だったとしても、いいんです。「こうやってみよう」という思いを持って動かすことに意味があります。

実は……途中でやめなくてイイ

 大事なのは「こうやってみる」という意図を持って楽器を動かすことなんです。

 楽器に触って動かし始めたときに、思っていたよりも、重かったかもしれないし軽かったかもしれないですね。予想と違ったことに出会っても、そのとき自分にできることは見つけることができます。

こんな時はやり直してもいい

 やり直してもいい時があります。それは「こうするぞ」という思いが途中で抜け落ちてしまった時です。このことに気づいたら、やり直してみてもいいと思います。

 なにが起きても、「ここまでやる」と決めたところまでは続けましょう。やりきったうえで、再挑戦しましょう。

-体の仕組み・動きを考える